文春オンライン

ようやく見えてきた、コロナウイルス騒動でも生き残る企業そして個人

いまこそ「自分の人生の棚卸し」を

2020/04/23
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大波をかぶってなお生き残っているのは……

 そして、そこからさらに長期にわたる低迷となって、団塊Jr.と呼ばれた人口のボリュームゾーンの人たちは、就職氷河期とかいう他人事のようなキーワードで正社員となる道を閉ざされます。働き口がなく、生活が安定しないので結婚もままならず、次のベビーブームを起こすことなく、かなりの割合が未婚無職の独居老人となってフローリングのシミとなる最期を迎えかねないのです。

 失われた10年、ネットバブルの崩壊、リーマンショック、東日本大震災、いろいろと転換点となる事件は経験してきたけれども、そういう大波をかぶってなお生き残っている企業も人物も、特徴としては「欲をかきすぎず、ほどほどに頑張り、無難に手元資金を残している人たち」のように思えるんですよ。

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 収入となるフローがたとえ半分、いや、仮にゼロになっても、それまで相応な生活で分をわきまえて貯めてきたストックで1年、2年と持ちこたえられる立場の人たち。大多数の日本人が共働きで、子育ても頑張り、介護でも苦労して、歯を食いしばって生きている中で、旅行やコンサートなどのコト消費で派手に浪費せずにそこそこ貯蓄したことで、冬が厳しくても越せる蓄えがあるのです。厳しいようだけど、収入が途絶えて、国家や自治体がどうにか対策を打ってくれるのを待たなければいけない人たちほど、社会に頼りながら社会に対して「対応が遅い」と批判することになるのです。

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 ある意味で、イソップ童話『アリとキリギリス』的な側面は仕方がないと思うんですよ。

「いざ」というときに余裕がないのはお互い様

 ただ、それまでの経済界も特に、株価を引き上げるためには時価総額経営のなかでもROEの最大化が大事だと力説され、なるだけ会社の中に現金を置いておかず、それらの資産は全部再投資に回し、全力で利益を上げることをもって経営者の力量とされてきました。うっかり余裕のある手元資金があると「モノ言う株主」がやってきて現金を配当で吐き出させられるし、それが上場企業の責任だという風潮もまたありました。

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 何より、「いざ」というときに限って、同業者は頼りにならないし、銀行はすぐにはカネを貸してくれないどころか借り換えも難渋するようになるし、取引先も苦しいから一日も早くカネを回収しようとしてきます。それは善悪というより、お互い様なところがあるんですよね。

 今回は「リモートワークにしましょう」「なるだけ出勤しなくても仕事ができるようにしましょう」という方向に経済全体がシフトしても、インフラに携わっている事業者は社員さんたちの出社がなければ仕事ができないし、現場にも人を出さないといけない。生活の現場を守る人こそが、雇用の中で一番大事なのだ、ということに、なかなか気づけないのです。

 また、社員個人個人が付加価値をどれだけ生んでいるのかがリモートワークで分かるようになってしまうと、その会社のジョブフローも仕事の仕組みも変容していき、使えない人、要らない人が炙り出されてしまう。