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ようやく見えてきた、コロナウイルス騒動でも生き残る企業そして個人

いまこそ「自分の人生の棚卸し」を

2020/04/23
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危機に直面したいまこのとき、すべきことは

 中高年どころか、30代でもパソコンが満足に使えない、自宅にWi-Fi環境も用意していなかったという社員が出ると、業績不振が見込まれる会社は危機対応ができなかったり能力のない社員さんを真っ先に切りに行くわけですよ。どんなに職場では「いい人」でも、リモートワークもありの環境になったら成果があからさまに出て、職場の潤滑油的な人ほど立場がなくなっていきます。必然的に、企業など組織内での働き方は変容せざるを得ないし、容赦なく働く個人に変革を迫ることになります。

 現場に出る仕事でない限り、突き付けられているのは「非常時は誰も助けてくれない」前提で、自分が如何に環境に適応できるよう日々の生活の中で準備をしてきたのか、です。それは生きていくために必要な現金をどのくらい持っていたのかだけでなく、自分のパフォーマンスをこの状況下でも出せる仕事の仕方を整えてきたのかだと思うんです。

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 だからこそ、泥棒を見つけてから縄をなうような泥縄の議論をしても仕方がなく、危機に直面したいまこのとき、生き残るためにどういうスキルを自分は持っているのか、それを活かして生活していくためにはどういう行動を取ればいいのか、という「自分の人生の棚卸し」をやらないと駄目なんじゃないでしょうか。

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容赦なく騒ぐからこそ子どもなのです

 生き残れる人とは結局、稼げる方法を編み出せる人生の在庫が豊富にあり、きちんと現金を蓄えてきた人なんだと思います。そうでない人は組織から切られないよう必死に頑張り、あるいは受け入れてくれる先が見つかるまで漂流するしかない。ここまで来ると、いまある手持のおカネがいくらなのかよりも、不安に押しつぶされないように心を健全に保つほうが重要だったりするのでしょう。

 そういう不安が支配する時期をむこうまだ何か月かは過ごすのに、いざ自宅で働くぞとか思い詰めてみると、子どもは家にいるしまったく仕事にならないのもまた事実なんですよね。子どもたちはかわいい。赤ちゃんもかわいい。だが、いま私は仕事に集中したいのだ。声をかけないでおくれ、静かにしててくれと言っても容赦なく騒ぐからこそ子どもなのです。

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 富める者も悩める者も、いまは等しく感染症の恐怖に怯え、だいたいみんな自宅におるのです。子どもたちも学校に行かず、オンライン授業やったり家でゴロゴロしているのを見ながら、なんとなく家族が団子になって暮らしているのは、私は心が洗われる思いがします。

 大事なものを守りながら、やはり生き残らないと駄目です。感染症から身を守るだけでなく、経済困難な状況でも自分自身が生き抜くことが何よりも大事です。そして、生き残るために何が必要か、何をしなければならないか、手持ちの在庫を見ながら必死に考えることができる人が、逆説的に困難な時代を生き抜くのだろうと。

 そして、私も4人の子どもたちが寝静まった深夜に、ようやくこの原稿を書いています。次の世代を担う我が子たちに、どんな社会を引き継ぐべきなのか自問自答しながら。

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