Q 放送事業の外資比率、どうして制限が?

 総務省幹部らを接待していた放送関連会社「東北新社」が、放送法の外資規制に違反していた問題でさらに話題になりました。海外の映画専門チャンネルなどもあるので、素朴になぜ外資の比率が高いと問題になるのかと感じるのですが、どうして外資の比率を低く抑えることが求められているのでしょうか?(20代・女性・会社員)

3月15日、参院予算委員会に出席した東北新社の中島信也社長(右) ©AFLO

A 過去にこんなことがありました

 たしかになぜ外資規制があるのか、ニュースで解説してくれませんね。放送局が使用している電波は国民共有の財産と見なされています。もし放送局の経営権を外国の企業が握ってしまったら、国民の財産が勝手に使われてしまうことになりますし、その国の意図にもとづく放送がされてしまうかも知れません。そうならないように、外資規制があるのです。

 あなたがご指摘の「海外の映画専門チャンネル」も、経営主体は日本の企業。どんな放送をするかは日本の企業の判断によるので、やはり外資規制が適用されるのです。

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 株主総会で議決権のある株の3分の1以上を保有すると、重要な決議を否決することが可能になります。そこで、3分の1を外資が保有することができないようにするため、その前の段階の20%を上限にしているのです。

マードック氏(中央右)と握手する孫正義氏(中央左)(写真は1997年)©AFLO

 1996年には世界的メディア王ルパート・マードック率いるニューズコープがソフトバンクと合弁企業を設立し、当時の全国朝日放送(現在のテレビ朝日)の株を旺文社から買収して20%以上取得し、大騒ぎになりました。合弁企業は20%を超える株を取得するが、ニューズコープの合弁企業への出資は5割なので、全体としては10%程度に留まるから問題はないという見解でしたが、全国朝日放送も朝日新聞も猛反発。結局、合弁会社が取得した株は朝日新聞が買い取ることで決着しています。

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