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将棋記者も悩ませる、藤井聡太竜王のすごすぎる快挙「どう表現すればいいのか…」

将棋記者も悩ませる、藤井聡太竜王のすごすぎる快挙「どう表現すればいいのか…」

座談会「『将棋記者』のおしごと」

2022/05/24
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地理好き、キノコ嫌い…将棋から離れた藤井聡太竜王の素顔は

吉田 記者会見やインタビューでは、ものすごく謙虚で、語彙力も豊富で大人びた感じですが、将棋を離れると、あどけないところもあったりします。将棋に関しては粘り強いし、圧倒的な根性の持ち主ですけど、散歩を始めたけど3日でやめたみたいな話も聞きました。行った先から帰ってくるのが面倒なようで、盤を離れるとそんなにガッツがあるタイプでもないのかもしれません。

 あと竜王戦は山口県の宇部で決着したんですが、その帰り道に電車が横を通ると「あれは国鉄105系」とか、見た瞬間に言って誰もついていけなかったです。地理が好きで、山口県の宇部という場所も地図上で完全にわかっていて、旅することを楽しんでいる様子です。だから地方に行く番勝負も強いのかなと思いますね。

左から順に東京新聞の樋口薫記者、朝日新聞社の村瀬信也記者、読売新聞社の吉田祐也記者。奇しくも同世代の3人が集まった ©末永裕樹/文藝春秋

村瀬 私は、最近だと「キノコが嫌いだ」というのが面白いなと(笑)。年明けに囲み取材の機会があったんですけど、そこでキノコの話になって「前よりは食べられるようになったけど、これくらいの大きさの敵だと手強い」といった感じで、キノコを「敵」と表現をして、ユーモアがあるなという印象を受けました。

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 それと、こちらが「これはこういうことですか?」と言ったとき、ちがうと思ったらきっぱりと「それはそうじゃなくって……」と否定するところが印象に残ります。ずいぶん年齢が離れた人に「こうですね」と言われたら、あそこまできっぱり否定できるかなと。そのあたり芯がしっかりしているなと思いますね。でも、記事になったものを自分で読むかといえば、読まないらしいですが。

樋口 インタビューの録音を後で聞き返すと、だいたいの人は、文章につながりがなかったり、ことば足らずだったりするんですが、藤井竜王はそのまま使えることがほとんどなんですね。しっかりとした文章になっている。頭の中で日本語を組み立てて話しているんだなと感じます。そしてよく笑うし、明るい。落ち着いていて、バランスのとれた方だなと思います。

◆ ◆ ◆

 将棋担当記者の醍醐味や記者だからこそ知る棋士の横顔などについて、大いに語り合った座談会「『将棋記者』のおしごと」の全文は、文春将棋ムック「読む将棋2022」に掲載されています。

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