ネットにほぼ情報がない雑誌のバックナンバーも充実
昭和のタイトルばかりかというと、そんなことはありません。音楽関係では、2010年まで刊行されていた「スイングジャーナル」のような新しめの雑誌が収蔵されていますし、インターネット関係では、短命に終わった月刊誌「ニフティ SUPER Internet」のバックナンバーも閲覧できます。
ただし今回の個人向けデジタル化資料送信サービスは、絶版などで入手が困難な資料が対象ですので、数がそれほど多くないのは事実です。
同じIT関連では、どちらかというと「コンピュートピア」のような、パソコンという単語よりも前に登場し、00年代まで発刊されていた雑誌のほうが、全体を俯瞰して見られるぶん貴重な存在かもしれません。
また「Fujitsu」「NEC技報」などPC事業に携わっていた各メーカーの情報誌は、第一線の技術者による解説記事が多数掲載されており、最新技術がどのようにIT製品に落とし込まれていったのかを知ることができます。
テキストベースだと読むのが疲れる、もっと気軽に眺めたい場合は、写真をメインにしたグラフ誌もおすすめです。例えば1950~60年代に存在しながら、現在ネットにはほとんど情報がない「サングラフ」や「芸能画報」はバックナンバーが充実しています。
また終戦まで内閣情報部が発行していた「写真週報」は、いわゆるプロパガンダ誌ではありますが、後世にあまり伝わっていない戦時中の写真を見ることができます。
なお雑誌を見ていくにあたっては、広告をウォッチするのもひとつの楽しみ方です。最近は古い雑誌が電子版として復刻されることも増えていますが、出版社主導の場合、広告は塗りつぶされていることがほとんどです。
しかしこの国会図書館デジタルコレクションの蔵書であれば、原本そのままですので、当時の広告もそのまま見られます。
そのため現在もある大手企業の広告はもちろん、合併でなくなってしまった銀行や、倒産などで現在はすでに存在しない企業の広告も見ることができます。
また家電製品や車の広告をみれば、当時のトレンドがよく分かりますし、現在との物価の差を知るのにも役立ちます。このほか、電話番号や郵便番号の桁数の違いを現在と比較するなど、違いを探してみるのも面白いでしょう。