さまざまな事件やトレンドワードで検索すると…
世間で起こったさまざまな事件や、当時のトレンドワードで検索するのも、知見を深めるのに有用です。特に災害や事件は、発生から時間が経つにつれて、細かいディテールが薄れてしまいがちです。しかし当時の雑誌などでこれらを検索すれば、より生々しいルポを、現在進行中の状況の一部として見ることができます。
例えば発生1ヶ月後に「阪神・淡路大震災」という正式名称に変わるまでに多く用いられていた呼称「阪神大震災」で検索すると、1995年1~2月頃の震災直後のルポはもちろん、業界紙に掲載された、各企業の当時の対応や影響を分析するレポートを見ることができます。四半世紀が経過し、全体を大掴みにする記事しか見られなくなっている現在、こうした資料は貴重です。
ある事件の前後で、取り上げられ方ががらりと変わってしまったトピックもあります。例えば1982年の火災事故で連日その名が報じられた「ホテルニュージャパン」は、オープン直後の1960年代にはその先進的なインテリアや斬新なユニフォームが業界誌で取り上げられる一方、事故発生後の1982年以後はネガティブな記事でしか名前を見かけなくなっていることが分かります。
また1963年に亡くなったプロレスラーの「力道山」で検索すると、生前は日々の献立や修行生活を伝える記事が見つかりますが、亡くなって以降はこうした記事はほぼなくなり、その生涯とテレビなど各界への影響を伝える記事がほとんどになるなど、内容が二極化しています。生前の人となりを知るためには、前者のような記事は実に貴重です。
ちなみに「東京オリンピック」など、あまりに影響力が大きいイベントは、さまざまな書籍に含まれる昭和の年表にその単語が存在しているせいで、正確に検索できません。「皇太子」のように、時代ごとに誰を指しているのかが変化する表現も思った結果が得られませんので、時代で絞り込んでいくなどの工夫が必要になります。