東京維新の不祥事としては、一昨年公然わいせつで逮捕された港区議・赤坂大輔氏の事件も記憶に新しい。こういった一連の不祥事は党内が分裂を起こしているからだと前出の大手新聞記者が続ける。
「音喜多政務調査会長と柳ケ瀬総務会長の仲が悪く、内部で権力争いばかりしています。自分の“お友達”を擁立することに腐心して、党内のガバナンスが緩くなっているように見えますね。昨年の衆議院議員選挙でとある東京の候補者は、事務所開きの時に支援者たちに掛け時計を配っていました。公職選挙法では買収として禁止されている行為ですが、本人は無自覚だったようです。後日問題を指摘されて慌てて代金を徴収していました。こんな人でも擁立しないといけないんだな、と思いましたね」
森かつ子氏がパワハラ被害を訴えたワケ
しかし、維新の危機は東京だけではない。大阪から車で1時間半、同じ関西圏にも関わらず兵庫県でも維新の求心力が衰えているようだ。
冒頭でパワハラ被害を訴えた森勝子氏が4月29日に投稿したツイートからは、足並みが揃わない党内の現状が垣間見える。一体兵庫で何が起こっていたのか。森氏に取材を試みると、森氏は事の経緯を語り出した。
「翌日に議会答弁を控えた3月24日のことでした。翌日の議会答弁の準備でバタバタしていたところに、兵庫10区支部長の堀井健智衆議院議員から電話があったんです。答弁のことでアドバイスがもらえるのかと思いきや、要件は7月の参院選で立候補予定の岸口みのる兵庫県議会議員の選挙応援への要請でした。
もともと岸口議員の活動には疑問を持っていたので、返答を渋っていると『これができないなら維新の議員としていらんということになる』と言われたんです」
森氏が岸口氏の活動に疑問を持ったのは2019年の統一地方選挙の時、つまり森氏が初出馬した時からだったという。森氏は、岸口氏を含む日本維新の会の候補者数名で駅前に立ち選挙活動をしていた。
「岸口氏がいきなり怒鳴ってきたんです。どうやら岸口氏が長年“定位置”にしていたところに私が立ってしまったようで、『自分は何度この場所で駅立ちしていると思っているんだ。分かるだろ!』と。確かに、知らずに立ってしまった私にも落ち度がありますが、市民のいる前で怒鳴るなんて非常識です。この頃から、岸口氏の政治家としての在り方に疑問を抱いていました」