「たこをもらいに行く」と他人の選挙カーで寄り道
その後、たびたび岸口氏の言動に疑問を抱いてきたという森氏だったが、不信感が決定的になったのは2021年の兵庫県知事選挙でのことだった。
「当時、兵庫県知事候補だった齋藤元彦氏の選挙カーに齋藤氏、私、そして岸口氏が乗車していた時です。昼過ぎに岸口氏が誰かと電話で会話した後、いきなり『たこをもらいに行く』と12時50分に二見市民センターに寄るように運転手に指示したんです。
市民センター近くに到着すると、10人前後の支持者が待っていて、齋藤氏が握手などの対応をしていました。そんな中、2~3人の市民の方が倉庫らしき建物の中からいくつもの段ボールを持ち出してきました。岸口氏は彼らに段ボールを選挙カーの後部座席に入れるように指示しました。
たこが6匹以上入っている箱1つに、明石海苔が入っている箱、ベビーカステラなどのお菓子が入っている箱などで計4個はありました」
その後、選挙カーが目的の場所に到着すると、岸口氏はその段ボールとともに別の車に乗り換え、去っていったという。この岸口氏の行為について、森氏は公職選挙法違反の可能性を指摘するとともに、倫理的にも問題だと批判した。
「公職選挙法には支援者からの飲食物の贈与を禁止する条項があります。岸口氏は候補者ではありませんが、選挙期間中に選挙カーで『たこをもらいに行く』というのは違法行為ではないか。たとえ違法性がなかったとしても、他人の選挙活動中の行為として不適切であると思います。もちろん、岸口氏は旧民主党から維新に入った方で政治家としては大先輩です。しかし、この一件で同じ党内でも応援する気はなくなってしまいました。
でも、堀井氏はそんな岸口氏を応援しないと私の政治生命は終わりだと言うんです。不安とストレスのあまり体調を崩してしまいました」
堀井議員は「全部除名してきた」などと発言
森氏は堀井氏からの電話を受けた直後から体調不良を理由に市議会を休み、心療内科で治療を受けることになったという。ただ、議会の様子は森氏の耳にも届いていた。
「4月3日、私がいない場でこんな発言があったと知人が録音データを提供してくれたんです。堀井議員が自分に歯向かってきたような人に対して、『僕の目の前におれへんようになった。要するに全部除名してきた』と。これを聞いて、3月の電話で『維新にいられなくなる』と言ったのは本気だったんだなと思いました」
しかし、突然政党の代表にTwitterという、いわば公衆の面前でパワハラ被害を訴えるのは唐突な印象が否めない。この疑問に対し、森氏は「何度も政党内で被害を訴えたがまともに取り扱ってくれなかった」と明かすのだ。
「Twitterに投稿した時には維新という政党への期待はほとんど残っていませんでした。ただ、それでも最後の数パーセントの希望を持って、松井代表なら『これはアカンやろ』と言ってくれるのではないかと思っていました。日本維新の会が国政政党としてまともかどうか、試すような気持ちもありました」