「国内であればどこに住んでもいいのはありがたい。今後は通勤時間も業務に充てられます」(女性社員)
NTTグループの社員たちがそう喜ぶ一方で……。
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まだまだ手探り状態のテレワーク新制度
NTTは7月からグループ約3万人を対象に、勤務場所は自宅を基本とする新たなテレワークのルールを開始。地方からは飛行機を使った出社も認められる。
ただ、地方在住の社員からはこんな声も聞こえる。
「出勤が“出張”扱いとなることから、交通費は上限のない経費となると組合から説明されました。これに先立ち、会社は大規模オフィスを次々と売却したため、後戻りできない。ですが、7月に東京に異動辞令が出た同僚が『地元から通っていいのか』と聞いたところ、『人脈作りのため出てきてくれ』と言われた。運用はまだまだ手探り状態です」
代理店から不満の声が上がるなか、特に意識しているのは
こうした働き方改革を打ち出す一方、グループ内ではリストラの大鉈も振るわれている。ドコモショップ(DS)の大量閉店だ。ドコモは今年度中に100店舗を閉鎖する方針を、DSを運営する代理店側に示している。
ドコモ関係者が語る。
「現在、特に代理店側に圧力をかけているのがポートイン(他キャリアからの乗り換え)の数値目標達成です。この上半期は、目標値を当初計画の150%以上に設定。達成できないと、DSは経営が成り立たない手数料体系にしました」
本部では毎月、成績下位の地場代理店を“ピックアップ”しているという。
「このデータを元に、閉店に追い込む打ち合わせを行っています。『公正取引の観点から、こんなのが許されるのか』という声も内部からは聞こえてくる。年度内の閉店を決めた店舗には“手切れ金”として、10カ月分の手数料を支援費名目で支払うことも決定。その額は大規模店舗で2000万円前後になります」(同前)
代理店から不満の声が上がる状況に、ドコモ首脳も神経を尖らせている。中でも意識しているのが、大手代理店の反応だ。
「成績の悪い地場の代理店が閉店や売却を迫られる中、販売網を維持するため、資本力のある大手代理店が店舗の売却先として受け皿になるからです」(同前)