他方で医療や通訳も含めた大会運営には酷暑のなか広く国民都民のボランティアを招集しておきながら、ほとんど税金つかみ取りのような構造で湯水のように利権に群がる状況にしてしまったのは真の意味で日本政治の悪しきレガシーであって、まさに統一教会と結託した自民党の保守傍流・清和会のドンたる森喜朗さんや、亡くなられた安倍晋三さんの拭うことのできなかった悪弊を一掃する良いタイミングなのではないかとも思うのです。
そこには、我が国の構造不況とも言える成長戦略不在の種もまた潜んでいます。本来であれば合理的な労働法制のなかでより自由な就業と研鑽ができるようにするべき政策を実現していくべきところ、民間企業から地方自治体までビッシリとパソナグループほか人材会社が派遣労働の受け皿として機能している現状があります。契約社員・派遣社員が本来もらうべき所得をピンハネしてしまって収入が上がらず、結果的に国民の所得の伸び悩みとともに生産性が上がらず、世帯収入不足で結婚もできず子どもも儲けられず少子化に歯止めがかかりません。
日本経済を再成長へと載せ直せる政策の実現を
もちろん、パソナ以下人材会社にも正当な言い分はあると思いますし、先日パソナの取締役を辞任された竹中平蔵さんも自身の動画の中で釈明を重ねています。しかしながら、雨後のタケノコのように人材サービス会社がどんどん誕生し、便利で合理的な人材サービスが栄える一方で、ピンハネ率や紹介料の歯止めがないうえに民間企業が転職希望者のリストを作って人工知能を使い、その人の「値打ち」を決めてしまうのは果たして望ましい社会なのかという問いはいま一度冷静に考えるべきことです。
奇しくも来年4月に統一地方選挙を控え、人口減少で衰退の一途をたどる地方も含めて岸田政権の最初の試練がやってきます。ここで与党が惨敗見込みとなってしまうと、まだ任期を残しながらも「岸田おろし」が本格化してくると岸田政権はレームダック化を余儀なくされ、死に体のまま3年間を過ごすというオプションも取りづらくなってきます。延命しても総辞職しても、いずれにせよ日本政治は停滞することとなります。
起爆剤のない岸田政権を支持する理由を作る必要に迫られたいま、思い切って戦後自民党政治の旧弊を振り払い、適切な規制の敷き直しをし、日本経済を再成長へと載せ直せる政策の実現をお願いできればと思っております。
それができて初めて、国民からは不評だった国葬議を経て、安倍晋三さんの墓前で「頑張りました」と報告できる日が来るのではないかなと。