高野さんがコンタクトを取ってみると、すぐに返信があり、支援を受けられることになったという。食糧支援に加えて月に1万円を3回分、合計3万円を支給してもらった。野菜ジュースから乾麺、レトルト食品など、以前支援を受けたフードパントリーよりも多い食糧が送られ、食糧支援を受けている間は1ヶ月間それだけで食いつなぐことはできないまでも、少し食材を買い足すだけで済んだ。
食糧支援を受けられるようになって1年が経つ頃、アルバイト先がようやく見つかったこともあり、現在、高野さんの生活状況は好転してきているという。アルバイト先は家電量販店で、土日がベースのシフト制。高野さんが大学から給付されている奨学金は、先述したとおり成績が優秀な生徒が対象になっている。成績を下げてしまえば、大学に継続して通うことはできなくなる。そのため、平日は学業に専念しなくてはならず、友人と遊ぶ余裕はおろかアルバイトをする余裕もない。
一人暮らしをしている高野さんの友人の中には、こうした生活困窮からアルバイトを2、3個掛け持ちして働いている人もいるという。アルバイト先が見つかってもコロナ禍真っ只中ではなかなかシフトにも入れてもらえず、止むを得ず複数のアルバイトを掛け持ちしている大学生は決して少なくない。
大学入学までにかかる学費は、教材費だけでも20万円以上
現在、日本では大学生の学費、教材費が上昇する傾向が続いている。文部科学省が発表している「国公私立大学の授業料等の推移」によると、1989年(平成元年)度の国立大学・公立大学・私立大学の学費(入学料と授業料)はそれぞれ、52万5,000円・60万172円・82万7,184円だったのに対し、2021年(令和3年)にはそれぞれ、81万7,800円・92万7,668円・117万6,894円に増加した。
また、全国大学生協連が新入生の保護者を対象に行った「2022年度保護者に聞く新入生調査」では、「教科書・教材購入費用」の平均額が21万9,200円で、前年の調査より4,300円増加している。
パソコンなどを含めて入学までにかかる教材費だけでも概ね20万円以上となり、保護者の援助を受けられない学生は、これを自ら負担しなくてはならない。