岸田文雄氏は、“安倍さんの次”を狙うのか?
そもそも自民党の派閥は、中選挙区が生み出しました。ひとつの選挙区で自民党の候補者は複数が立候補しますから、選挙区ではライバル同士。当選しても仲が悪く、自民党内で別々のグループに所属します。こうして派閥が維持されてきました。
派閥のトップが総理大臣になれば、総理派閥所属議員として、いい顔ができ、中央省庁の官僚たちの態度も変わってきます。地元からの陳情を役所に伝えやすくなり、次の選挙に有利。親分の下で団結する動機にもなります。
派閥には教育機関としての役割もありました。各派閥は、優秀な若手が欲しいですから、当選して派閥に入ってきた新人議員には、国会議員としての振舞いのイロハを教え、早朝の勉強会に出席させて政策を学ばせました。
しかし、派閥抗争の弊害が指摘され、「小選挙区にすれば各選挙区から立候補する自民党候補はひとりだけ。選挙は政党同士の戦いになるだろう」という考えもあって、小選挙区制度が導入されました。
その結果、党の公認がもらえないと当選が覚束なくなり、新人たちは総理や官房長官の顔色ばかりを見るようになりました。そのため派閥の力が衰えたと言われます。
〇〇チルドレンと呼ばれる新人議員が大量に誕生すると、派閥が教育することもできず、問題を引き起こす議員が続出するようになりました。
選挙制度を変えてみたら、新たな弊害が生まれる。政治制度の難しさです。
ところで、岸田さんは、“安倍さんの次”を狙うんでしょうね? ウカウカしていると、小泉進次郎が出てきますよ。
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