子どもの頃から総裁選が好きだ。一つしかないイスを狙ってエネルギッシュなおっさんたちが駆け引きや策略をめぐらせて争う。権力闘争のおぞましさ込みで見てしまう。
55年体制以降、政権交代がなかった昭和は「自民党内での派閥による疑似政権交代」が確かに緊張感を生んでいた。
家康になりたいおじさん
そんな政局マニアからすればこの9月におこなわれる自民党総裁選は注目のはずだけど、一向にワクワクしない。
理由はただ一つ。
安倍総裁の「対抗馬」に覇気がないからである。たとえば、本来なら宏池会を背負い、清和会と対決し、安倍総裁の最大のライバルになり得る立場だった岸田文雄政調会長。ふにゃふにゃしたままついに「不出馬表明」。
いいタイミングなのであらためて最近の岸田氏の話題をまとめてみる。
ああ、と思ったのがこちら。
「総裁選 もし家康なら……」(読売新聞 7月17日)。
コラムによると、最近の岸田氏は「徳川家康」(山岡荘八著)を読み直しているという。
《家康の生きざまを改めて読んで、今を勝負時と考えたのか、我慢のしどころと思ったのか。決断の時は近い。》
要は総裁選に出るか出ないか、この時点でも岸田氏はまだ決断できていないことがわかる。
これを家康の「慎重さ」と比べていいのだろうか? ただの「優柔不断」ではないのか。そんなツッコミが浮かぶが、本人が家康気分なのだから仕方ない。
自分を戦国武将に例えてうっとりする、おじさんによくある風景をここで見てしまった。