感想戦でも凄まじい読み筋を…
高槻駅前「クロスパル高槻」の大盤解説会場に出向いて挨拶した後、再び関西将棋会館の対局室に戻って感想戦が始まった。永瀬が悔やんだのは、やはり56手目の角成。代えて銀をぶつけるべきで、もっと言えばその場面で封じ手にするべきだった、と振り返る。
やがて、馬と飛車を交換して永瀬の手番となった局面の検討に移る。永瀬は持ち駒を「桂→飛車」の順で打ったが、「飛車→桂」の順はどうだったかが議論された。先に飛車を打てば、本譜の桂合よりも手堅い合駒をされると検討陣は見ていたし、永瀬自身もそれでまずいと思っていた。
だが、藤井はそれでも底歩の合駒をした後、本譜と同じ桂合のルートを辿るつもりだったという。「普通の手順」は、藤井の候補にすら入っていなかったのだ。
「それなら1歩違うので、こっちがよかったですか」と永瀬は嘆きながらも検討を進める。藤井は凄まじい読み筋を次々と披露し、その「1歩の違い」があっても後手に思わしい変化は出てこないことを示した。
感想戦開始から30分、これで終わりかと思いきや、永瀬が桂を跳ねた変化について「銀をこっちに行く手もあっちに行く手も有力で」と、研究手順を披露しながら笑う。藤井も笑う。声が弾む。棋士室で行われている研究会と何ら変わらない雰囲気だ。
桐山九段は興味深く見守りつつ時折、質問を投げかけていたが、やがて本来の職務に戻った。記者会見の時間が迫っているため、終わらせなければならないのだ。
感想戦開始から約50分後、「もうそろそろ」と声をかける。両者は深々とお辞儀をして、長い長い七番勝負が幕を閉じた。



