プロ棋士が驚愕した藤井の言葉

「少しでも長く七番勝負を続けられればという気持ちでやっていました。結果として防衛できたことは非常にうれしく思いますし、また幸運でもあったかなと感じています」

 藤井は記者会見で答えた。

 私は記者の方にお願いして、「どこまでが想定だったのか」を聞いてもらった。すると「仕掛けられる手を今まで考えたことがなかった」と驚きの答えが返ってきた。

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 ちょっと待て。銀の逃げ方の3択、飛車の逃げ方の3択は、いずれも初見で最善手を選び続けたというのか。それで持ち時間を2時間半も残して完勝したというのか。あり得ない。迷いがない。決断が良すぎる。第6局でも感じていたことが、確信に変わった。このシリーズで、藤井はまた強くなった。

これで王将5連覇を達成 ©︎勝又清和

 最後に感想戦についての質問があった。

「感想戦では率直に、読み筋や形勢判断を教えていただいて、いつも勉強になる時間だったと感じています」

 私は会見を最前列で見ていたのだが、ほんの少し藤井の声が弾んでいたように思った。

永瀬は「タイトル戦でVSをやりたい」と…

 早い時間に終わったので、宿をキャンセルして東京への帰路につく。なんと永瀬が終局後にスポニチのライブ動画でファンからの質問に答えるというので、新幹線の車中でイヤホンをして聴いた。

「私は終わったらノーサイドです。基本的に対局というのは盤上でベストを尽くす、それがすべてだと思っているので。終わったら後は建設的な感想戦をするだけです」

 そうだ。最後の2局の感想戦は、タイトル戦ではなくVS(研究会)のそれだった。藤井とのVSを再開するのかという質問には、「タイトル戦でVSをやりたいんですよね。ですので、そちらのほうで精進します」と答えていた。負けた直後に動画出演する精神力も凄いが、この台詞はいかにも永瀬らしい。