「生と死」への向き合い方を“人生の達人”に学んだ──

はじめに 柳田邦男
この『文藝春秋』7月号が発売される頃、私は82歳になる。八十路(やそぢ)に入った頃から、時折頭の中を過(よ)ぎるようになった思いがある。
「90歳からの生き方」
「90歳からどう生きるか」
10年後という自分の未来の年齢を区切って、「どう生きるか」と考えたことは、長い人生の中でなかったことだ。人間の「生と死」という深遠で身近な課題に真剣に向き合うようになってからの私は、昨年7月に亡くなられた25歳年上の日野原重明先生を追いかけていれば、自分も少しずつでも心が成熟していけるかなどと、安易に考えていた。
「私は88歳で『葉っぱのフレディ』のシナリオを書き、著書が売れるようになりました。あなたも88歳になったら、売れる本が書けるようになるでしょう」と、お元気だった日野原先生から励まされたのは、私が70歳前の頃。それならばと、これからは自分が取り組んできた現代の日本人の「生と死」というテーマを総括する作品群を書き上げようと、仕事に拍車をかけてきた。
そして、気がつけば、八十路に入っていた。自分のテーマを総括する作品群は、あと3〜4年で書き上げられる目処がたった。そんな中で立ち上がってきたのが、「90歳からどう生きるか」という思いなのだ。
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source : 文藝春秋 2018年07月号