NHK朝ドラ主演女優・藤田三保子氏が“性虐待の元凶”を実名告発「よく死ななかったと思うほどの地獄」

連載「ルポ男児の性被害」第7回・前編

秋山 千佳 ジャーナリスト

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ニュース 社会

塚原たえさん(52)による覚悟の実名告発は大きな反響を呼び、ついに叔母が立ち上がった。叔母とは、NHK朝ドラ『鳩子の海』でヒロインを演じた女優・藤田三保子さん(71、旧芸名:美保子)だ。当時、東京で女優として成功していた藤田さんは、父親から性虐待にあっている塚原さんら子どもたちを案じ、「2人を養子にしたい」と山口を訪れたことがある。だが、父親はこの申し出を突っぱね、その二十余年後、弟・和寛(仮名)は自ら命を絶った――。性暴力の実情を長年取材するジャーナリストの秋山千佳氏による実名インタビュー。(後編はこちら

12月20日(水)17時より、塚原たえさんと、精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さん、性暴力の実情を長年取材するジャーナリスト・秋山千佳さんによる「文藝春秋 電子版」のオンライン番組「父親からの性虐待を告発する 『弟は命を絶ちました』を配信します。

「ててなし子」と呼ばれて

 女優の記憶にある故郷は暗い。

 兄妹で「てて(父)なし子」と呼ばれ、差別に耐えた。その兄とは17歳の時、心の中で縁を切った。人には言えない事件が背後にあった。

 NHK朝の連続テレビ小説『鳩子の海』でヒロインを演じた、藤田三保子(71)。

 姪の塚原たえ(52)が父親からの性虐待を実名告発したことで、縁を切った兄=たえの父親について明かそうと決断した。かつて幼いたえとその弟・和寛(仮名、故人)を救おうとして救えなかったことを、三保子は今も後悔しているという。

「兄は何をするかわからない人だし、本当は関わり合いになりたくない。でも、たえが実名を出してでもあの人のことを世に訴えたいと言い出した時、気持ちが痛いほどわかりました。今からでも兄を刑務所に入れてほしいし、性虐待に時効があることがおかしいのです」

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