名城下の花雲海へ  美作国の桜

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見事な桜を見たい――。それを満足させるのが岡山の津山だ。「日本さくら名所100選」に選ばれた豪奢な津山城跡を中心に、街中に桜が溢れる。

津山城跡の鶴山(かくざん)公園は明治期1900年開園。桜の絨毯を思わせる絶景が広がる

建築と桜が織りなす、稀なる名所

 日本100名城に数えられ、日本三大平山城の一つである津山城。岡山県北部、かつての美作(みまさか)国で1616年に築城された。明治に廃城となったが、跡地は鶴山公園として開園。残された見事な石垣を桜が覆い、平成時代に復元した櫓のある城跡は国史跡であり、桜の名所として知られる。まさに歴史と美しさが重なり合う公園だ。

 津山が全国でも稀な桜の名所とされるのは、美しい建築とともに桜見物を楽しめる場所が市内に数多いからだ。

 鶴山公園への登り口で桜とともに時計塔が目を引くのが、森本慶三記念館。森本慶三は熱心なキリスト教徒で、大正から昭和にかけて高等学校や博物館などを創設、教育の普及に貢献した。この建築も慶三が大正時代に津山基督教図書館として建立。今では国登録有形文化財となり、森本家関連の貴重な資料を展示する博物館である。

 市内には何百年もの歴史を誇る神社や寺が点在し、各寺社にも自慢の桜がある。大隅神社は、津山藩藩校の門を移設した神門と見事な桜が参拝者を迎えてくれる。津山藩主・森家の菩提寺で、国重要文化財の本堂や御霊屋(おたまや)などを持つ本源寺(ほんげんじ)も、境内に咲く桜が美しい。枝垂れ桜が自慢の千光寺には、夜桜の撮影に多くの観光客が訪れる。

 国登録有形文化財となった昭和の駅舎・美作滝尾(みまさかたきお)駅は、改札へと向かう道と線路沿いに見事な桜を咲かせる。『男はつらいよ』の最終作のロケ地としても知られ、後に山田洋次監督は、駅舎について言葉を残している。

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source : 文藝春秋 2025年4月号

genre : ライフ 歴史