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名前が勇ましくなるだけならいいが……

 現在の命名法は、昭和35年の防衛庁長官の訓令が根拠だが、護衛艦はひとまとめに「天象・気象、山岳、河川、地方の名」とされたため、実際には帝国海軍と同様、駆逐艦相当の小型の護衛艦には天象・気象から「むらさめ(村雨)」など、巡洋艦相当の大型の護衛艦(イージス艦など)には山岳名から「ちょうかい(鳥海)」などと付けてきた。

海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」(後方は「こんごう」) ©共同通信社

 このルールで行くと、もはや戦艦という艦種が存在しない以上、旧国名は登場しないはずだった。ところが、「ひゅうが」で旧国名が「地方の名」として復活すると、次々とかつての戦艦や空母の名前が付けられているのだ。

 ちなみに、帝国海軍で潜水艦は「伊十二」のように、等級によって「伊」「呂」「波」で命名された。海自では、訓令で「海象、水中動物の名」となったが、水中動物の名は付けられたことがなく、「なだしお」など「海象」の名が付けられてきた。ところが、訓令が2007年11月に改正され、「ずい祥動物の名」が加えられたことで、「そうりゅう(蒼龍)」が登場した。帝国海軍の「蒼龍」は同型艦の「飛龍」とともに活躍した主力空母である。

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 名前が勇ましくなるだけならいいが、帝国海軍の主力艦のほとんどが、沈没、または空襲で大破、着底するなどして、使い物にならなくなったことをお忘れではないか。

2007年に登場した新型潜水艦「そうりゅう(蒼龍)」進水式 ©共同通信社

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