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丸6年で5000億円の流通を生み出す

 その前に、山田がいかに「普通じゃないこと」を成し遂げたのか。簡単にメルカリの今を確認しておく。

 メルカリのサービス開始は2013年7月。衣服からタイヤまで、売りたいモノがあれば、何でもスマホで写真を撮り、簡単な説明を書いて投稿すれば、全国の誰かに売れる。ネットオークションの「ヤフオク!」に近いが、予め販売価格を設定しておくルールのため、買い手からすれば誰かと入札金額を競い合う必要はない。その手軽さが受け、スマホの普及と歩調を合わせながら加速度的な成長を遂げる。気づけば個人間取引(CtoC)のデファクトスタンダード(事実上の標準)となっていた。

メルカリの注文画面

 サービス開始からこの6月で丸6年。数字は堅調に右肩上がりを続けている。最新の決算資料(2019年1~3月期)によると、月間利用者数は1299万人。売買される金額の総和、いわゆる流通総額は、四半期で1330億円まで膨らんだ。年間で計算すると流通総額は5000億円を超える規模。この取引の約1割が手数料としてメルカリに入り、売上高として計上される。

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 連結従業員数は1786人まで増加。昨年10月に入社した新卒社員50人のうち外国籍は44人と、組織のグローバル化も急速に進む。

©文藝春秋

 外国人社員の多くは、インドなどの著名大学を出た技術者。とりわけAI(人工知能)の開発に注力しており、画像情報から自動で商品の型番などを抽出したり、不正な出品や取引などを見破ったりといった用途に活用している。

「米国で勝たないと世界で成功したことにならない」

 米国市場向けアプリは、国内のサービス開始から約1年後の2014年9月とかなり早い段階でリリースしているが、こちらの成長は芳しくない。直近四半期の流通総額は1億300万ドル(約111億円)と大台を超えたものの、国内の12分の1の規模で、赤字が続く。

 それでも山田は、メルカリが当初から掲げるミッション「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」にこだわり、「米国で勝たないと世界で成功したことにならない」「トヨタやソニーといった日本企業にできたことが、ネット企業にできないわけがない」と言い、挑戦を止めることはない。

©文藝春秋

 いつから山田は、そんな大それたことを考えるようになったのか。