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「めちゃめちゃしゃべるチームは強い」酒井高徳が“異色のチーム”ヴィッセル神戸でやったこと

ヴィッセル神戸・酒井高徳インタビュー #3

2020/02/23
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最近の日本代表はしゃべっているか

――最近の代表はどうでしたか?

「俺がいた最後の代表はロシアW杯のチームでしたけど、本田圭佑くんとかオカちゃん(岡崎慎司)、(長友)佑都くん、ハセさん(長谷部誠)あたりがしゃべるから締まるところは締まるんです。でも、若い選手が多くなってきて、しゃべらない雰囲気がちょっとずつできていると数年前から感じていて、川島永嗣さんにも個人的に伝えました。試合に出てる、出てないは関係なくて、代表のピリピリ感はもったほうがいいと思いますって。ハリル(ハリルホジッチ元日本代表監督)さん時代ですが、球際球際って口では言うけど、実際は練習では甘かったり。もっと球際行かなきゃだめでしょって思ってるのを、誰もあんまり言わなかったりというのはありました」

――チーム状態がよくない時期はそうなるのですね。

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「だと思いますねえ。そもそも何が良いか悪いか、強く本気で言える人って日本にはあんまりいないと感じています。代表では個別でハセさんが監督と話すくらいしかなかった。でも、これからの代表は、タクミ(南野拓実)とかリツ(堂安律)とか、久保(建英)くんとかは、自己主張も強い感じがするから、それがいい効果になるのかなと思います」

©文藝春秋

――神戸では、選手同士のコミュニケーションは変化していったのでしょうか?

「はい。時間とともにみんなすごく話すようになりました。3バックのセンターをやってる大崎玲央には『お前がしゃべらなきゃだめだし、押し上げてライン統率していかないと』と言ったんです。同じ最終ラインにはトーマス(フェルマーレン)がいますが、レオは英語ができるのでなおさらやらないと、と。しゃべるようになった後のレオの成長は著しかったですね。自分がリーダーだという自覚がでてきました。

 ヴィッセルには、もともと人に意見を言える選手が多かったのだと思いますけど、アンドレスとかルーカスとかがきて、萎縮というわけではないですが、様子を見ることが多くなったんでしょうね。俺が加入したときには、ちょっと遠慮している空気が見えたので、練習に入った瞬間に激しくボールを奪いにいったりする姿勢も見せました。最近は、だいぶ練習のレベルが上がってきてみんながガチガチやってるんで、怪我に気をつけろよって思ったりもしてます。

 でも、そもそも日本の選手はボールを取りに行き慣れてないんですよ。激しくいってボールを取るという技術が決して高くないんですよ。だからファウルになったり、相手を怪我させてしまうことがある。体から行かず足先だけで行くので、削ったり踏んだりがでてくる。ほんとに球際激しくいくなら体ごといくべきなのに、それがあんまり上手じゃないというのが正直ありますね」