共同通信は全国の新聞に記事を配信しているが、たとえば今回の記事を一面で報じた『信濃毎日新聞』を見てみよう。
『「反政府」懸念し拒否』『首相官邸、学術会議会員候補の6人 安保や秘密法 言動問題視か』(11月8日)
リード文はWEBと同じで「複数の政府関係者が明らかにした」とあり、紙面ではさらに詳しく書かれている。
《官邸はこの6人が政府の重点政策に強い反対を打ち出し、国会を含む公の場で積極的に発言していたと判断。》
さらに、
《今後も同様の主張を続け、学術会議内でも反対運動を主導しかねないとして「公務員としては適任ではない」と考えたという。》
紙面で書かれた更なる「デカい表現」
続いての2面もすごい。
『「思想で排除」隠した本音』と、これまた衝撃の見出し。
《政府関係者は、任命拒否の判断に至った背景に、学術会議を政府批判の先鋭的な集団にさせてはならないとの危機意識があったと明らかにした。》
《特別職の国家公務員である学術会議の会員には、その言動に一定の「節度」が求められる――。任命拒否を発動した官邸側の判断には、こうした強い意識がにじむ。》
いかがだろうか。2面を読むとハッキリと今回の拒否の理由が6人の「言動」であったことを政府関係者が証言していることがわかる。
「反政府運動」という言葉が強すぎてSNSでは論議になったのだろうが、紙で読むと「思想で排除」とさらにデカい表現が出ていたのだ。そしてこれが正解らしいと。
ちなみに首相は国会で「安保法などに反対したのが任命拒否の理由ではない」と主張しているのでこの点だけでも問題になる。
共同通信のスクープはギョッとする内容だが、では菅首相の国会答弁を「世論」はどう見ているのか。
読売の世論調査(11月10日)は『首相説明「納得せず」56%』だが、首相の説明に「納得できない」とした人でも、菅内閣を「支持する」が59%と半数を超えている。
このことから『政権運営に与える影響は、今のところ限定的と言えそうだ。』と読売は書く。