「助けて」と声をあげるだけで人生の終着点は変わる
――取り上げているテーマは、家族とも密接に関わります。カレー沢さんの家族からは作品についてどんな反応がありましたか?
カレー沢 作品の話をするのは恥ずかしいから聞いたことはないんですが、たぶん、私の親は読んでないと思います。
でも、夫は読んでいるでしょうね。感想を聞くのが怖いので尋ねたことはありません。
――今後、漫画の展開はどうなるんでしょう?
カレー沢 孤独死はいろいろな要素の集大成なので、描こうと思えばたくさんのエピソードが描けるんです。でも、いつまで連載できるかはわからない。だから、厳選したいですね。若いうちからの資産形成は避けられないし、施設に入る方法なども入れたい。とくに親の介護は人生で最初にぶつかる問題だと思うので、詳しく描きたいと思っています。
『ひとりでしにたい』は主人公が女性で、婚活本的な印象が大きく、男性を悪く描いている部分が多いかなと感じています。だからこそ、男性側の視点というのも描きたいです。
基本的に、漫画を描く際は一つのことを悪く言わずに、いろいろな方面から見ていきたいと思っています。
――カレー沢さんが、読者に一番読んでほしいエピソードはありますか?
カレー沢 第3話の「わるいおんな」。孤独死を避けるためには、行政などに助けを求めることが大事っていう内容です。その話だけ読めば、最悪の事態を免れるのではないでしょうか。
日本は生きている権利が保障されている国です。もちろん、窓口に相談して追い返されたというケースもあるのですが、助かったという事例も多いと思う。
日本人は、人に迷惑をかけちゃいけないと思いこんでいる節があるから、助けを求める大事さを知ってほしい。「困っている。助けて」と言えるかどうかで、人生の終着点は変わります。
カレー沢薫
1982年生まれ。「漫画家にして会社員にして人妻」改め、無職兼作家。漫画やコラムを書いている。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビュー。『ひとりでしにたい』(同)をはじめ、『ひきこもりグルメ紀行』(筑摩書房)、『きみにかわれるまえに』(日本文芸社)など著書多数。Twitterに投稿した「ギャルが犬を飼った話」では7万以上の「いいね」がつきバズった。