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2021/04/25

打者の「差し込まれているな」「前さばきが必要だ」の感覚も図示

三輪 投手だけでなく、攻撃のデータも取れるわけですね。

山本 打者のバットのスイング軌道、ボールのコンタクトポイントなども図示することができるので、例えば「差し込まれているな」とか「前さばきが必要だな」など、感覚的な部分が図示されます。ボールの軌道を画像で示すことができるので、コーチの指導用資料や、メディアへの映像提供も視野に入ります。

三輪 僕は骨格データに興味があります。ケガ予防に繋がりますか?

山本 骨格の投球フォームを映像化できるので、ケガに繋がりそうな因子をいち早く見つけることができます。カメラはスイッチングでき、前、横、上、様々な角度からフォームを分析できます。リアルな3D映像に変えることもできるので、例えばゲームやアニメーションへの転換などエンターテインメント化も可能です。実際、イギリスではクリケットの投球映像を3D化して中継映像に差し込んだりしています。

河端 こういったリアルな3D映像はファンの皆さんに見せたいですね。

山本 映像はリアルタイムでデータ化され、ファイルに変換。選手がその日のうちに、タイムラインを追いながら、停止、コマ送り、スロー再生、アングル変換等、パソコンやタブレットを通じ、自由に映像を見ることができるようにしたいと思います。すべてのデータを統合すると選手の3Dイメージが作成されて、肘や関節の位置も見ることができます。

(この日は神宮球場で試合がなかったが、リアルタイムの神宮球場の映像が映し出され、雨に濡れたブルーシートが見える)

雨天中止のヘッスラ&つば九郎の「空中くるりんぱ」も3D分析

河端 これ今の神宮ですか? 極端な話、三輪の雨のヘッドスライディングの距離やスピードも出るんですか(笑)?

山本 角度、距離、スピード、すべて映像で分析できます。

三輪 うわ~、俺、引退を早まったかな……。

河端 プレーやそれ以外の部分もエンタメ化して、球団HPで見せるとか可能性が広がりそうですね。

三輪 球団HPでつば九郎の「空中くるりんぱ」の3D分析映像を載せされる日も遠くなさそうです(笑)。

――お二人に聞きますが、このシステムが現役時代にあったら?

河端 僕は上背もなく、球も速くなく、球種も少ないというピッチャーだったんですが、こだわっていたのは、どれだけ同じリリースポイントから球を投げれるかということ。フォークを得意としていたけど、手が小さくて落ち幅も大きくなかったので、回転があるフォークで、ストレートの軌道から外して打者を打ち取ることを考えていました。

フォークの握りを示す河端広報

 フォークは、第2関節で挟んでそのままストレートと同じように押し込んで投げる感覚です。もしホークアイがあったら、フォークを投げるときはどんなフォームで、どこでリリースして、どういう回転、回転数をしているのかを見て、それが自分の感覚とどう合致してるのかを確認したかったですね。

山本 実際スワローズの分析担当者さんも、投手がリリースを開始してどこでボールが離れ、それがいかにホームプレートに近いのかという「エクステンション」という概念を話題にします。これがホームに近ければ近いほど、打者は反応が遅れるそうです。

河端 打者から「空振りを取れたフォーク」と、「見逃されたフォーク」は数値的にどう違うのか。”感覚との答え合わせ”ができるのは本人も、コーチにもいろんな気付きを与えられると思います。

山本 MLBのいくつかの球団では同じシステムを練習グランドやブルペンにも入れています。試合とブルペンでの数値を見比べれば感覚の違いが分かると思います。とくに戸田球場で使ってもらって、データに慣れている若い選手に訴求できれば。

骨格映像でクセの分析も

三輪 僕は打者ですが、極端な話「今日はどんな球が来ても打てる!」っていうときと「なに投げられてもからっきしダメ……」という日があったんです。その感覚が数値で出たらどんなにありがたいか(笑)。

走塁時の骨格画像に見入る三輪広報

 走塁時は相手投手の背中側の映像を何度も何度も見て牽制のクセなどの研究をしてましたけど、骨格の映像があったら、有利になりますよね。ただ、最後は「人と人との勝負」なのが野球。駆け引きとかデータで絶対出てこない部分もあるので、偏ってもいけないのかなとも思います。

河端 毎年出される選手名鑑もデータ重視になってきて、ホットゾーンが掲載されていますが、広報部としても球団のHPで公開して、データが好きな新たなファンを獲得するということにもチャレンジできれば。

三輪 膨大なデータを活用するにはやはりコーチの役割が大きいと思いますね。これを感覚でやっている選手にどう”通訳”できるかが大事なのかも。そうするにはたくさんのアプローチの仕方が必要になってきますね。

 こうしたシステムには、心拍数や発汗量などを測定し、精神状態の分析も行われようとしているという。燕に導入された“鷹の目”は果たして、今後チームにどのような成果をもたらすのか。選手の一挙手一投足を見つめるファンの「目」も変わるだろう。

左から河端広報、三輪広報、山本氏、技術担当のテラソン氏

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