物価高騰の瀬戸際まで来ている
とか言っているうちに、アメリカ人があんまりにも新しく木造住宅を建ててインテリアに凝るもんだから、今度は建築資材用の木材が足りなくなってしまいました。俗に「ウッドショック」と言われる現象は、カナダやオセアニア地域の材木流通の現場を一変させ、それまで2×4の建築資材や半製品で一杯だった積み出し港近くの木材輸出用ヤードが一気にカラになってしまい、木材の価格が急騰。いまでは、日本でも戸建て住宅を建てようにも材木が届かないので、建築計画が無期延期になる現場さえ多発して、2021年下期は決算真っ赤でみんな真っ青な展開になるのではないかと思ったりもします。
最近では、東南アジアやロシアからの木材も便乗値上げで、いっそ日本国内産の材木に再び脚光が集まります。困ったときの国産、って、敗戦前夜に日本全土から鍋や仏像をつぶして鉄をかき集めたかのような戦時経済を彷彿とさせて涙を誘います。しかし、いままでさんざん日本の林業を馬鹿にして産業育成してこなかったばかりか、建材の品質は材木の乾燥具合にもよるので、これから夏場になる日本産を増産しようにも時期が悪く、当面は価格高騰で逼迫しそうです。
木材だけでなく、素材、材料の類の価格高騰は半導体など電子機器、通信機器をはじめあらゆる商品に及んでおり、先物取引ではなく実需をともなう現物の値段が高騰しています。資源や素材を輸入に頼る日本は、国内要因というよりも世界的な物流の事情で輸入価格が軒並み上がり、いまや悲願だったデフレ脱却(笑)も目前に迫るほど物価高騰の瀬戸際まで来ております。
焼け野原になったところからの復興
流通の現場でも、スエズ運河が馬鹿でかい船の座礁で止まっていた影響で海運価格がコンテナ船を中心にこれまた高騰、1カ月で運賃3倍とかなっとるわけですよ。まあ、もちろん需要一巡までの一過性のもんでしょうが、値上がりしているものは上がっているのですから影響は大きくなります。
しかし、コロナ拡大のお陰で経済は沈滞しているのです。「コロナは風邪」と言い回る方々がいて、マスクなし会食を繰り広げたことで、変異株が猛威を奮い始めた東アジアのなかでも日本は上位の死亡者数をマークしています。大阪府での失政もあって、緊急事態宣言でしっかりコロナ感染者数を統制してさっさと経済再開したいのに、緊急事態宣言も5月末まで延期になってしまいました。切り札はコロナワクチンの接種拡大ですが、頑張って接種会場を大きくしたり、自治体も職員の皆さんや医療関係者が休日返上で頑張っているのに、まだまだワクチンが国民に行き渡るのには時間がかかります。
おそらくワクチンは効くでしょう。そこまでどうにか我慢して、これから経済を良くしていこうというころには、すっかり物価も上がり、多くの人が解雇され、経済的に厳しい状態で焼け野原になったところからの復興をしなければならなくなるのではないかと思います。