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 当時社長を継いで3年ほどで、赤字続きだったんですよ。だから結構つらくて。でも、その日、めちゃくちゃ熟睡できたんですよ。それまでは自律神経がすごい乱れてるから、寝ていても、8回ぐらい起きちゃうんですよね。それが、サウナに入ったら寝られる。『何だこれは!台湾の投資家の気持ちがわかったぞ』と(笑)。そこから、サウナに入るようになったんですよね」

大浴場にある落ち着いた雰囲気のサウナ室
壁にロウリュすることも
露天は最高の外気浴スペース

サウナ付きの2部屋をフィンランド式に全面改装

 サウナとの運命的な出会いを果たした林はその体験を仲間にも広め、巻き込み力をいかんなく発揮していく。

「社長になる前のホテルの稼働率は、年間60%台ぐらいでした。その上、収益の柱だった結婚式は少子化により年々減っていく。どうしたら宿泊稼働率を上げていけるか、ずっと考えていたのですが、サウナと出会って覚醒しました(笑)。『サウナは乱れた自律神経を正常化する』と、日本サウナ学会長で知り合いの加藤容崇医師からも裏付けをいただいた。大変な思いをしている人は世の中に沢山いらっしゃるわけです。だから、サウナを活用しない手はない。

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 サウナに毎日入るようになったら、タオルの品質から浴室内の掃除といった基本的なこと、サウナ室のセッティングに至るまで浴室全体の改善点が見えてきました。サウナもロウリュ式にして、壁にロウリュするウォーリュ、北海道遺産にも認定されている『モール温泉』をかけるモーリュを売りにして、日帰り入浴も強化し始めました。

 それから元々あったサウナ付きの2部屋をフィンランド式に全面改装したところ、ほぼ部屋が埋まるようになって。カップルの宿泊も増え、客層も若返りました。若い人はサウナグッズも買ってくれますし。サウナに関わる設備投資も数カ月で元が取れました。経済効果はかなりありましたね。2021年の宿泊稼働率は80%弱まで上がり、経営も安定化していきました。