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「あれは生涯忘れない(笑)」『機動戦士ガンダム』の安彦良和が忘れない「ウルトラマン」の”トラウマ”

樋口真嗣『シン・ウルトラマン』監督×安彦良和『機動戦士ガンダムククルス・ドアンの島』監督 #1

source : 週刊文春出版部

genre : エンタメ, 映画

note

安彦 クレーターのところに子どもたちが集まってくるシーンは気に入っているんです。お姉さんのカーラが人数を数えて「なんかちょっと多いみたい」ってボケて(笑)。で、「おまえ、どこの子?」「ホワイトベースの子だよ」っていうセリフ、あそこ好きなんですよ。

モビルスーツの激しいアクションから、子どもたちが見せるほのぼのしたやりとりまで詰め込まれた『ククルス・ドアンの島』

樋口 ああいうシーンがジワッと来ますね。映画『ククルス・ドアンの島』はジュヴナイルの物語として、きちんとできているのがすごくよいなと思いました。『シン・ウルトラマン』はご覧いただけましたか。

「ぼくらが子どものころに観ていた『ウルトラマン』も…」

安彦 ぼくは『ウルトラマン』の予備知識もなかったんです。いちおう、難しいぞと覚悟して観たんですけれども、おもしろいんですが、やっぱり難しい。もっと予習しておくべきだった (笑)。

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樋口 いろんなものがいっぱい出てきますからね(笑)。

安彦 冒頭で怪獣が出てきて「やっつけた!」となるでしょ。モグラみたいなおもしろい怪獣は出てるけど、あとのはもう「終わってます」。え? って。観客は、ああいう前提をわかって観ているの?

樋口 ぼくらが子どものころに観ていた『ウルトラマン』も、あれくらい置きざりだったんですよ。『シン・ウルトラマン』は現代の話なんで、今風の難しい言葉が入っていたりするけど、「なんだかわからないけど、難しい言葉をしゃべってるな」くらいの気持ちで観れば大丈夫じゃないかという判断です。

安彦 ああ、そうか(笑)。でも当時のようにミニチュア撮影じゃないでしょ? 村の俯瞰とかミニチュアだなというシーンもありましたが。

樋口 いや、あれはCGをミニチュアセットっぽくつくっているんです。最初はヘリで空撮しているようにしか見えないから、もう少し特撮っぽくしようと。

安彦 ミニチュアだと思った!

樋口 木が倒れるカットはミニチュアです。CGだと木は時間がかかるんですよ。