安彦 クレーターのところに子どもたちが集まってくるシーンは気に入っているんです。お姉さんのカーラが人数を数えて「なんかちょっと多いみたい」ってボケて(笑)。で、「おまえ、どこの子?」「ホワイトベースの子だよ」っていうセリフ、あそこ好きなんですよ。
樋口 ああいうシーンがジワッと来ますね。映画『ククルス・ドアンの島』はジュヴナイルの物語として、きちんとできているのがすごくよいなと思いました。『シン・ウルトラマン』はご覧いただけましたか。
「ぼくらが子どものころに観ていた『ウルトラマン』も…」
安彦 ぼくは『ウルトラマン』の予備知識もなかったんです。いちおう、難しいぞと覚悟して観たんですけれども、おもしろいんですが、やっぱり難しい。もっと予習しておくべきだった (笑)。
樋口 いろんなものがいっぱい出てきますからね(笑)。
安彦 冒頭で怪獣が出てきて「やっつけた!」となるでしょ。モグラみたいなおもしろい怪獣は出てるけど、あとのはもう「終わってます」。え? って。観客は、ああいう前提をわかって観ているの?
樋口 ぼくらが子どものころに観ていた『ウルトラマン』も、あれくらい置きざりだったんですよ。『シン・ウルトラマン』は現代の話なんで、今風の難しい言葉が入っていたりするけど、「なんだかわからないけど、難しい言葉をしゃべってるな」くらいの気持ちで観れば大丈夫じゃないかという判断です。
安彦 ああ、そうか(笑)。でも当時のようにミニチュア撮影じゃないでしょ? 村の俯瞰とかミニチュアだなというシーンもありましたが。
樋口 いや、あれはCGをミニチュアセットっぽくつくっているんです。最初はヘリで空撮しているようにしか見えないから、もう少し特撮っぽくしようと。
安彦 ミニチュアだと思った!
樋口 木が倒れるカットはミニチュアです。CGだと木は時間がかかるんですよ。