亡くなった爽彩さんから「直接話が聞けていない」ことを理由に
「最終報告書では『転校後に前の学校の悪夢を見る』『しばらくの期間、イジメにあった事実を語ろうとしなかった』などの爽彩さんの症状から当時、『PTSDを罹患していた可能性は否定できない』との見解を示している一方、イジメによるPTSDと診断を受けていた爽彩さんに対して、『直接話が聞けていない』ことを理由に、『PTSDと診断された経緯が明らかでないことから、推測の域を出ない』としています。つまりPTSDだったかもしれないけど、本人に話を聞けないし、診断の経緯もよくわからないから、PTSDだったと断定はできないということです」(同前)
当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。
「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です。
「法律の矛盾するところを直してあげたい」と言っていた爽彩さん
16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前)
最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。
爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか。
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