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島根大で腎臓内科医が一斉退職へ 島根の腎臓医療が崩壊危機

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「県の西部など過疎地では、基幹病院でも常勤医が足りず、大学からの応援でなんとか生き延びている状況なんです。もし大学から腎臓専門医が一斉に居なくなってしまったら、県内全域の地域医療が崩壊します」

不可解な教授選に失望

 一体なぜ、このような状況になったのか。

「実はこれまで島根大病院の腎臓内科には正規の教授職がついておらず、昨年の秋、教授選を行うことになりました。教授選のテーマは『地域医療』で、まさに伊藤先生が積み上げてきた実績そのものです。教えを受けてきた医師たちも、恩師の当選を疑っていませんでした」(前出・A医師)

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 今年の春、教授選の立候補者の公募が始まった。すると――。

「教授選には最初から、伊藤先生を含めて複数の応募があったにもかかわらず、不自然に2回も公募がし直され、そのたびに教授選が延期されました。あまりに異例なことです」(同前)

不自然に2回も公募がし直され、延期が続いたという教授選

 公募は3月、5月、7月をそれぞれ締切に計3回実施された。そして10月にようやく教授選が行われたのだが、伊藤医師は落選。

「この結果に伊藤医師は失望し、退職を決めたのです。新教授は来年1月に着任予定ですが、4月からは1人で腎臓内科を見ることになりかねません」(同前)

 伊藤医師に取材を申し込んだが、「今お話しできることはありません」との回答だった。

島根県の腎臓医療の体制が崩壊する可能性がある

 大学当局にも問い合わせたが、教授選の結果や公募を3回行った理由については「公表しておりません」、伊藤医師らの退職については「承知しておりません」と回答。地域の腎臓医療が崩壊する可能性を指摘すると、次のように回答した。

「ご質問の趣旨は仮定の話でありお答えすることは困難です。仮に退職者が出た場合にあっても体制を整え、これまでと同様に地域医療への一助となるべく対応いたします」

 現在配信中の「週刊文春電子版」では、伊藤医師を“排除”された背景、病院内の激しい派閥争い、腎臓医療の“利権”の構図など“島根大の白い巨塔事件”について詳しく報じている。

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