真優子さんの殺害された様子から加害者は返り血を浴びている可能性がある。さらに被告の妻は、真優子さんが発見された6月14日に宮本被告が新しいリュックサックを買ってきて、それまで使っていたものを17日に破棄したと証言している。さらに——。
「6月12日か13日の日に、主人のどこかの指に絆創膏が貼られていることに気付きました。私が主人に『どうしたの?』と訊ねると、『どこかに引っかけたみたい』と話していました。それ以上、そのことについては何も聞いていません」
事件後に「ごまちゃん」の店内からは宮本被告の結婚指輪が発見されており、そこには真優子さんの皮膚片が付着していた。鑑定にあたった医師は「(犯人が)指輪をはめた手拳などで殴打した可能性」を指摘している。
被告の妻は「仮に主人が事件を起こしたのなら、被害に遭われた方に謝ってもらいたいと思っています」と証言する一方で、被告の無実を信じたい心情を告白していた。
「私は主人から暴力を振るわれたこともありませんし、そのような素振りを見せられたこともありませんでした。主人は娘に対しても暴力を振るうようなことはなく、娘とも仲が良かった。私にも優しい主人でした。私は主人が人を殺すようなことはしていないと思っています」
沈黙を貫く宮本被告が控訴した真意とは…
真優子さんの両親や兄がメディアを通じて悲痛な哀しみを表明し、宮本被告の妻は無実を信じている。
その中で、宮本被告は沈黙を貫いている。
真優子さんの母・由美子さん(65)の自宅には、真優子さんが「お母さん 大好き」と筆文字で書いた書道紙と、大人になってから送られた「感謝状」が飾られている。由美子さんは言う。
「まゆっちは子どもの頃から動物が大好きでした。犬もネコもアザラシもどんな動物でも大好きで、『将来は動物と触れ合う仕事がしたい』と話していた時期もありました。もしかしたら、動物の言葉を理解していたんじゃないかと思うぐらいに、自宅で飼っているネコを抱く時も動物園や水族館に行った時も楽しそうにしていました」
後に彼女は「自分の店を持つ」という新しい夢を持ち、実現した。店名には大好きなゴマフアザラシから「ごまちゃん」を採用した。しかしその店内で殺害されることになってしまった。
控訴審でこそ事件の真相が明らかにならなければ、亡くなった真優子さんも浮かばれない。