「忙しいといっても17時15分の定時には退社していたんでしょう。多少残業があっても、(会社のある新大阪駅から天満駅まで)電車で10分くらいで到着しますから、19時には店に到着するのは可能です。ただ正直に言うと、カラオケパブに日参するような印象はまるでありませんでしたが……」
宮本被告は真優子さんを殺害した後に、真優子さんのスマートフォンをアルミホイルにくるんで圏外にして発覚を遅らせる工作を謀ったのではないかと見られているが、元同僚はこの手口についても、業務で得た知識と関係がある可能性があるという。
「うちの会社は5Gの基地局向けの半導体を販売していますし、iPhone関係の具材(部品)も販売している。なので携帯電話をアルミホイルで包めば電波を遮断することぐらいは知っていた可能性があります」
「私が寝ていた時に主人がワイシャツを漂白剤につけていたことがありました」
会社では「地味な存在」だったという宮本被告だが、家庭ではどうだったのだろうか。宮本被告は2001年に結婚した妻と2人の娘と一緒に、60歳までのローンで購入した西宮市内のマンションに暮らしていた。9月の初公判では宮本被告の妻の供述調書が読み上げられ、彼の素顔の一端が明らかになった。
「私たちの家庭は主人の給料が私の管理する三井住友銀行の口座に振り込まれ、その日のうちに月3万円の小遣いを主人に渡していました。主人は小遣いを前借りするようなことはなかったので、私は3万円のお小遣いでやりくりしているものとばかり思っていました」
「ごまちゃん」に2時間ほど滞在すれば、会計はおそらく1万円前後となる。昨年1月から事件が起きる6月11日まで、宮本被告はおよそ2日に一度のペースで通っていた。とても月3万円の小遣いでは足りないはずだが、それについて妻はこう証言している。
「主人は結婚前から個人口座を持っていました。私は中身を見たことがないので、どの程度のお金を持っていたかはわかりません」
カラオケパブに日参する一方で、スーツなどには頓着せず倹約家だった一面も明らかになっている。
「主人はスーツを1着しか持っておらず、そのスーツを毎日着て行き、休みの日にたまに洗濯していました。ワイシャツは3着持っていて、汚れが目立ってくると夜のうちに漂白剤につけておいて、朝に私が他の洗濯物と一緒に洗濯することがありました。(事件のあった)6月のどの日のことまでかは覚えていませんが、私が寝ていた時に主人がワイシャツを漂白剤につけていたことがありました」