ゼロコロナからウィズコロナへと一気に変わった中国。ゼロコロナ末期には中国の若い人々が「自由のない生活はうんざりだ」と立ち上がり、「ゼロコロナ」政策への抗議デモを行いました。間違いなく歴史的な1ページとなるでしょう。

 ただ、中国人をひと括りにしてはいけません。中国にも、迫りくるコロナや激変する社会、「ゼロコロナ」政策などと関係なく、もともと外出することなくパソコンに向かい続けていたニートのような人々もいます。

 話は逸れますが、1990年代の日本のゲームセンター全盛期、東京・板橋のゲームセンターに車が突っ込んで店の壁のガラスが一面大破しても、私を含めた皆が黙々とゲームをプレイしていたことを思い出しました。社会的事件より1プレイのゲームのほうが大事な人の気持ち、わかりますとも。

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「World of Warcraft」のサービス終了報道で中国のゲーマーに激震

 さて、先日、中国社会の変化にもブレず、日々ゲームをプレイし続けていた一部のゲーマーに激震が走るニュースがありました。中国で根強い人気を誇るオンラインゲームのサービスが終了すると報道されたのです。ゲーム名は「World of Warcraft(略称WoW)」。日本ではマイナーで、パソコン好きな日本人ならタイトルは聞いたことがある程度のパソコン向けのオンラインゲームです。

 このニュースについて調べれば調べるほど、中国社会的錬金術が作り出すカオスが詰まっていました。WoWそのものの解説は他所で見てもらうとして、WoWまわりのカオスな部分を紹介します。

写真はイメージです ©iStock.com

 サービス終了の理由は、WoWの開発元「ブリザード(Blizzard Entertainment)社」と中国での運営会社「ネットイース(網易)社」の契約期限が2023年1月までとなっていて、間もなく契約が切れるため。中国での同タイトルのサービス開始は2005年6月で、実に17年もの間ファンに愛されたゲームなんです。

 ただ、2009年に運営会社が第九城市という企業からネットイースに変わった際にも、一時的にサービスが終了したことがありました。そのときには、プレイヤーデータを保存できず、ゼロからの状態でゲームを再開させる必要があり、ファンは失望しました。今回は2009年から10年以上経過した状態で同じことが起きるため、プレイヤーのショックはさらに大きいと想像できます。

 ご存知のとおり、この10年で中国人の所得があがり、生活は大きく変化しました。ネットカフェでゲームをしていた人々は、自分のパソコンを買って家で遊ぶようになり、さらにスマートフォンを買ったことで、どこでも遊べるようになりました。それでもなお、WoWは今も大人気なのです。