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《平塚・夫婦絞殺事件》両親の首を絞め、顔が炭になるまで焼いた…猟奇的犯行に及んだ長男(50)が抱いていた「被害妄想」と「ブラジル愛」

《平塚・夫婦絞殺事件》両親の首を絞め、顔が炭になるまで焼いた…猟奇的犯行に及んだ長男(50)が抱いていた「被害妄想」と「ブラジル愛」

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 50歳の息子が高齢の親を絞殺し、顔に火までつけていた今回の事件。一体、どのような家庭だったのだろうか。

「新谷さんはもう40年くらい住んでいましてね。哲男さんはとても優秀で一流大学を出て、自分で会社をやっていたんですよ。清子さんもとても物腰の柔らかい方でね。息子さんとは挨拶を交わす程度の付き合いでしたが、向こうから話しかけてくれるような人当たりのいい人という印象です。まさかこんな事件が起きるような家庭じゃないと思っていましたが……」

加工前後をSNSにアップもしていた(本人Facebookより)

 近隣の高齢女性は新谷さん一家についてこう語るが、事件のあった戸建ての裏に住む男性はこうも証言する。

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男性の怒鳴り声が近所に響き渡っていた

「数年前から、男性のかなり激しい怒鳴り声が聞こえるようになっていました。話の内容まではさすがによく聞こえませんでしたが、結構な頻度でしたよ。あの家じゃ何か深刻な揉めごとがあるんだろうなとは思っていました」

 こういったトラブルは何度も警察沙汰になっていた。前出の県警担当記者が解説する。

「2021年10月から2022年9月まで6回にわたり被害者夫妻から『息子に暴力をふるわれた』『息子が暴れているので現場を鎮めてほしい』などと通報が入っていました。しかし、両親は事件化を望まず、平塚市が家庭訪問などをするにとどまっていました」

 すさまじい家庭内暴力を振るっていたとみられる嘉朗容疑者は、その心中をフェイスブックに頻繁に投稿していた。そこでは親への不満、ままならない現状への嘆きなどを日本語とポルトガル語で記載している。

「世界の中心サンパウロ」への憧れ

〈単に「良い大学に行って、良い会社に入って」というステレオタイプを当然のことだと考え、母親は当時は「まさか、私の子供が大学にいかないとは思ってもみなかった」と何度も漏らしていた。(略)父親に至っては事業が忙しいので息子の教育は母に任せるの一点張り〉(2021年11月15日、嘉朗容疑者のフェイスブックより)

〈幼少の頃から過ごした街が一番、心の安らぐ場所とは限らない。当然のことだ。新たな舞台、すなわち世界の中心であるSão Pauloと、祖国でやり残したことを成すことができる街、Tokyo。このあと、この二つの都市を中心に活動することができれば私の人生に活路を見出すことができるだろう〉(2022年8月27日、同)

ポルトガル語の雑誌の取材を受けたこともあると吹聴していた(本人Facebookより)

 嘉朗容疑者のフェイスブックには、支離滅裂な内容も多く含まれ、長年、精神科に通ってきたことも書かれている。膨大な投稿からは、学業、仕事、恋愛などうまくいかない人生の原因がすべて両親にあるという被害妄想がうかがえる。しかし、哲男さんと長年の付き合いがある知人男性は言う。

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