筋肉が不足していれば、それだけ靭帯に負担がかかる
マラソンを始めるにも準備がある。シューズを買ったりウエアを買ったり、何かと出費が嵩む。しかし、桑沢医師は、それより先に準備すべきことがあるという。それは、筋肉をつけること――。
「ランナー膝もジャンパー膝も、ランニングに耐え得る筋肉が関節の周囲にあれば、よほど変な走り方をしない限り起きません。同じ関節でも、肩や股関節は球状の骨頭をお椀のような受け皿が支えているので安定感があるけれど、膝は骨と骨との接面の周囲を、靭帯と筋肉だけで支えている。筋肉が不足していれば、それだけ靭帯に負担がかかることになります」(桑沢医師)
例えば、こんなメニューが筋力アップに向いている。
(1)ベッドの端に横向きに寝て、上側の足を反対側の膝の前で交差するようにして下に垂らす。これを左右繰り返す。
(2)床の上にうつ伏せになり、両肘と両足のつま先の四点で体を支えて体を浮かせる。この状態から片足を浮かせて静止する。これを両足交互に繰り返す。
(3)左右の足をクロスするように立って前屈。
(4)片足スクワット(できなければ両足でも可)。
(5)ジムにあるトレーニングマシンや、
最後の(5)について中島氏は、「膝の負担を減らすために大腿四頭筋のストレッチング(
外側が磨り減ったシューズは要注意
走る以前に日ごろからストレッチを心がけ、十分に筋肉をつけてからシューズなりウエアなりを買いに行くほうが無駄はなさそうだが、そのシューズにも注意点がある。
「O脚の人はシューズのかかとが外側から減っていきます。外側が擦り減ったシューズを履き続けていると、さらにO脚がひどくなり、膝の外側が引っ張られてランナー膝の要因となります」
前出の中島氏もいう。
「足のつま先から中央あたりにかけての外側が擦り減るのはアウトです!」
こうなったら思い切って新しいシューズに買い替えたほうがよさそうだ。
じつは筆者(52)、ラン歴10年ながら、いまだにフルマラソンで4時間を切れないへっぽこランナーだ。これまで何度も膝を痛めた経験があるし、いまも長い距離を走るときには膝の周りをテーピングしないと痛くなる。
最近は五十肩を理由にランニングを休んでいるので、この間を利用して、真剣に筋力強化に取り組もうかな、と考えてみたりはしているのだが……。