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 外灯のまわりに固まって捨てられている吸い殻の半分は、三、四限目の間ここで時間をつぶしていた岳人のものだった。藤竹はそれを一つずつごみバサミでつまみ、ポリ袋に入れていく。それを突っ立って見ていた岳人は、校舎の壁際にコーヒーの空き缶が一つ転がっていることに気づいた。拾い上げて振ってみると、案の定かさかさと音がする。

「こういうのがマジ最低なんだよ」岳人は舌打ちをして言った。空き缶を藤竹のポリ袋の口へ持っていき、飲み口から中の吸い殻をふるい落とす。「集める側のことを、何も考えてねえ」

 出された資源ごみの中に灰皿代わりに使われた空き缶が混ざっていると、リサイクルの前処理にひどく手間がかかるのだ。

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「では、ここに吸い殻を捨てている君たちは、我々教師のことを考えているんですか」藤竹が淡々とした調子で言った。

 もちろんぐうの()も出ない。唇を歪めたまま黙っていると、藤竹は急に話題を変えた。

「学校を辞めて、どうするんです?」

「どうもしねーよ。だいたい、そういうのは普通の高校に行ってるやつに言う台詞(せりふ)だろ」

「じゃあ、昼間は働いて、夜は大麻の売人ですか」

「え――」思わずうわずった声が漏れた。慌てて平静を装う。「何だよ、それ」

「昨日の夜、ここでメモを拾ったんです」

 藤竹はごみバサミをかちゃかちゃと鳴らし、ポケットからそれを取り出した。四つに破ったはずの紙切れが、ご丁寧にテープで張り合わされている。

「君が、昨日のバイクの彼から受け取っていたものではないですか」

 迂闊(うかつ)だったと思うと同時に、また背筋が寒くなった。大麻の件がばれたからではない。その異常なほどの几帳面さに、執念深さのようなものを感じたからだ。

「だったらどうだっつうんだよ」虚勢を張るしかなかった。

「どうもしません。〈ヤサイ〉というのが大麻の隠語だということは、ネットで調べてすぐわかりました。でも、君がその売買に関わろうとしているのではないかというのは、私の想像にすぎない。ところで――」