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優勝した98年の6月号を引っ張り出してみた

 ところで、優勝した98年の6月号はどんな特集をしていたのだろうか。あの年も前年に2位になったことで「今年こそは優勝だ!」と開幕前から意気込んでいた。そしてゴールデンウィーク終了時点では5割ラインを行き来しており、状況的にも今シーズンとよく似ている。ならば、当時の月ベイはどんな誌面だったのだろうか? ということでバックナンバーを引っ張り出してみると……。

 メイン企画は『川村丈夫大研究』。やっぱり大研究シリーズだったか。サブ企画は、当時なぜか勝てなかった甲子園で勝つにはどうしたらいいのかを真剣に(?)考える『甲子園でなぜ勝てないのか』。ちなみに、この企画では「月刊タイガース」の編集長に、相手の立場から分析してもらうという画期的なこともしていた。そしてもうひとつの特集は月ベイの真骨頂ともいえる季節モノ企画『YB選手の梅雨対策』。どの選手もいろいろと工夫しているんだなぁ……。

98年の6月号のメイン企画を飾った川村丈夫 ©文藝春秋

 それにしても『野球雑誌ではなくファンマガジンである』というのが月ベイ編集の大前提であったとはいえ、ペナントレースや優勝とは全く関係のない誌面だったなぁ……。ちなみにこの号を隅々まで読んでみたが、『優勝』に関する記事はおろか記述も一切なし! さすがは月ベイ! こんなに早い時期から浮き足立ったりはしません(苦笑)。唯一の例外は、「本業ベイスターズファン・副業大学教授」と名乗っていた信州大学の山本哲士教授(当時)の連載コラム。開幕直後に行った権藤監督との対談で「ベイスターズ優勝・日本一」を確信したという哲教授のコラムは「優勝は間違いない! 歴史的な年になる!」と断言し、この誌面の中では異彩を放つ熱量だった。

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ルーキー時代の筒香嘉智が表紙を飾っている2010年の「月刊ベイスターズ」 ©岸野啓行

 DeNAベイスターズが勝利すると、ネット上には『横浜優勝』という文字が躍る昨今だが、おそらく今も月ベイを作っているとしても、きっとあの頃と同じようなお気楽な特集を組んでいることは間違いないだろう。

「まあまあ、そんなに勢い込んでいるとシーズンが終わるまで持たないですよ。勝敗や成績に関することは他の媒体にお任せして、我々ファンは、ベイスターズを楽しみましょうよ」そんなふうにゆる~くて、のん気なファンマガジンが月ベイなのだから。

 もしも今、月ベイを作っていたら……そんな妄想を楽しんだ5月のある日。ゴールデンウィークにはどこにも出かけることはなかったが、ちょっとしたタイムトラベルを楽しんだ。

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