「高校球児なぜ丸刈り?」“脱坊主派”、慶応高の監督に聞いてみた

夏の甲子園、出場56校の9割以上が“坊主派”です

中村 計 中村 計
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「伝統だから、みんなそうだから」は残念です

 そうした精神は、野球部の指導法にも表れていて、投げ方や打ち方に関しても、ほとんど指導されることはないという。その理由を10年ぶりの夏の甲子園に導いた監督、森林貴彦はこう話す。

「手とり足とり教えてもらったって、自分のものにならない。高校3年間では遠回りになるかもしれないけど、長い目でみたら彼らのためになると思っている」

初戦の9回裏2死1、2塁。宮尾(3年)が中前にサヨナラ打を放った。 ©共同通信社

 森林監督の坊主に関する考え方は、こうだ。

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「伝統だからとか、みんなそうだからみたいな理由で坊主にしているとしたら、高校野球の発展を考えると残念ですね」

「慶応が勝ったら、日本の野球界は変わるぞ」

 野球部が坊主であることの合理的な理由を聞いたことがないと問うと、森林監督は、にわかに語気を強めた。

「ない。ないんですよ。だから、うちが勝って、(坊主にしなくても勝てるということを)発信したいと思います」

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 森林監督は、選手たちにことあるたびにこう諭している。

「慶応が勝ったら、日本の野球界は変わるぞ」

 ただ、杉岡は言う。

「選手たちにそこまでの思いがあるわけではないんですけど、そうなったらそれはそれで悪いことではないんじゃないですかね」

 このあたりの軽さが慶応らしいし、だからこそ、今、高校球界の「非常識な常識」を変革するメッセージとしても力を持ちうる気がする。