第4次安倍改造内閣が発足して20日余り。安倍晋三首相は外遊に忙しいが、その間、新閣僚らの金銭にまつわる問題が火を噴きはじめている。発言とともに振り返ってみたい。

片山さつき 地方創生相
「うまくいったら、百万円なんて決して高いものじゃないわよね」

『週刊文春』10月25日号 

片山さつき氏 ©JMPA

 唯一の女性閣僚である片山さつき地方創生相の口利き疑惑を『週刊文春』10月25日号が報じた。

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『週刊文春』によると、2015年に会社経営者が青色申告の取り消し回避をめぐって、片山氏側に口利きを依頼。片山氏の私設秘書だった南村博二氏に100万円を支払った。片山氏は会社経営者に「任せてもらえれば、大した問題じゃないから」と言って旧知の国税局長に電話をかけ、「うまくいったら、百万円なんて決して高いものじゃないわよね」と語ったという。南村氏は100万円を受け取ったことを認めている。

 政治家が有権者の陳情に応えることはよくあること。ただし、口利きの見返りに金銭などの報酬を得ると、あっせん利得処罰法違反に問われることになる。

 元東京地検検事で弁護士の落合洋司氏は、片山氏の口利き疑惑について「疑惑の構図は、甘利明経済再生担当相(当時)のURをめぐる口利き疑惑に近い。あっせん利得処罰法違反の疑いがあります」と指摘。2016年、甘利氏は100万円受け取ったことを認めて閣僚を辞任した。その後、嫌疑不十分で不起訴処分となっている。

「説明責任」を果たすのか問われると……

 片山氏は22日、記事は「全くの虚偽」として文藝春秋に1100万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたが、23日の会見では「弁護士から裁判外で今まで以上の説明は控えてもらいたいと言われている」と詳細な説明を避け、24日からの臨時国会でどのように説明責任を果たすのかと問われると「国会のことに関わるので、私だけの判断では(説明することが)できない」と語った(産経ニュース 10月23日)。

 政治評論家の伊藤惇夫氏は「訴訟を理由に説明を避けるのは、『刑事訴追の恐れがある』と答弁を避けた佐川宣寿元国税庁長官と同じやり口です。国会でも答弁を拒否し続けるかもしれませんが、国民が納得するはずがありません」とコメント(『週刊文春』11月1日号)。また、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「疑惑を持たれた閣僚は訴訟を起こせば『説明責任なし』という悪しき前例になりかねません」と指摘している(日刊ゲンダイDIGITAL 10月25日)。

『週刊文春』の報道が出た後、片山氏はあちこちに電話をかけて「誰が文春にリークしたの?」「あなたが喋ったらどうなるかわかってるわよね」「今は官邸に守られているんだから」などと話していたというが……(『週刊文春』11月1日号)。菅義偉官房長官は18日の記者会見で「政治家としての自らの政治活動だから、説明責任を果たしていくだろう」と語っている(時事ドットコムニュース 10月18日)。片山氏の説明を待ちたい。