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地方都市が生き残るために必要な2つのこと

 訪日外国人や地方の良さを「選択」してここで暮らし、仕事をしようとするお客様を迎えるという立場で、駅や空港をもう一度振り返ってみよう。多くの駅や空港がなんと味気ない、機能ばかりを優先した「ハコ」であることに気づかされる。

待合ロビーに並ぶ味気ない座席 ©iStock.com

 激しい人口減少が続いてきた地方の多くの都市が今後生き残りを図っていくためには、2つのことを肝に銘じなければならない。

 ひとつは、人は外から「刈り取ってこなければならない」「呼び寄せなければならない」ということだ。日本全体の人口が減少し、その構成が高齢化する中では、自力更生の余地は少ない。ならば日本人でも外国人でも「外」から魅力的に映る地方に自らがならなければならないはずだ。

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 ふたつには、こうしたお客様を迎え入れる最初のゲートウェーが、駅であり空港だということだ。その観点から駅や空港を見ると、「どこで降りても全く同じ」である没個性の駅や空港は、とても「外」から来たお客様を迎え入れる体制にないことがわかる。

 多くの地方ではもはや東京に送り出す若者すらその数は減少している。消滅自治体などになる前に、いかにして自らの地方を演出して、多くの「外」の人々に魅力を感じてもらえるのか、これからの地方の大いなる課題といえよう。

 しかし、日本国全体の成長スピードが落ちたことは、逆に日本の国内、とりわけ地方の魅力をクローズアップさせる絶好の機会と言い換えることができるかもしれない。東京だけの単発エンジンで日本を牽引していくことはできなくなっているからだ。

土産物売り場にも地方の特色を ©iStock.com

「下り」優先の発想

 幸いなことに、日本では新幹線や空港といった、移動の基本となる社会インフラは整備され、ハイテク技術はいまだに世界を瞠目させ、自然の豊かさや食事のおいしさ、長い歴史に育まれた伝統や文化に満ち溢れた「豊かな国」「憧れの国」だ。

 その中で地方が果たす役割は今後重要になってくるのだ。そのためにはこれまでの「上り」一辺倒で、「ひと」や「もの」を献上する代わりに、中央からのお布施である補助金ばかりに頼ってきた地方像から決別し、自立した姿を日本国内のみならず、世界中に発信していく「下り」優先の発想が求められる。2015年に開業した北陸新幹線などはいい例だろう。最終着駅である金沢駅は、プラットホームや駅構内のいたるところに金沢の独自色を出して注目を集め、国内外から観光客を呼び寄せている。

金沢駅の「鼓門」は海外でも高く評価されている ©iStock.com

 10年後、20年後に新幹線の駅や空港に降り立った時に、「ああ、この雰囲気が好き!」と多くの人々が感じるような、そんな「地方の時代」を作っていきたいものだ。