ニットの粋はヨーロッパにあり

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ライフ ファッション

往年のスターや映画監督たちの装いをお手本に知性と色気を湛えた極上ニットの世界に迫る。

Marcello Mastroianni

マルチェロ・マストロヤンニの「タートルネック」

イタリアではタートルネックのことを“Dolce Vita(甘い生活)”と呼ぶが、彼の国でつくられる、とろけるような肌触りのカシミアニットを着れば誰もが納得。実は1960年の映画『甘い生活』にタートルネックは登場しないが、なぜかこのニットを着るときにイタリア人がきまって思い浮かべるのは、主演俳優のマルチェロ・マストロヤンニなのだ。¥79,200/フィリッポ デ ローレンティス(トヨダトレーディング プレスルーム☎03-5350-5567)

ヨーロッパの映画人に宿るニットの美学|談・赤峰幸生 服飾文化研究家

 私が芸術家志望の青年だった1960年代前半、憧れてやまなかったのがヨーロッパの俳優や映画監督のセーター姿でした。中でも影響を受けたのはフランス映画。アルパカのカーディガンをラフに着てムスタングを駆る『男と女』のジャン=ルイ・トランティニャンは言うに及ばず、映画監督であるフランソワ・トリュフォーの着こなしも若者たちに支持されてきました。彼はニットの袖リブを折り返し、その間にタバコの箱を挟むクセがあるのですが、私もよく真似したものです。

 そんなフランス流の“ゆるい”着こなしに対して、きっちりと着る英国流、素朴な手編みニットが印象深いイタリア流など、ニットスタイルはお国柄によって大きく異なります。みなさんも改めて当時の作品を観返してみてください。

 

Yves Montand

イヴ・モンタンの「ニットアウター」

イタリア出身ながらフランスの粋を最も象徴した男、イヴ・モンタン。1959年に妻シモーヌ・シニョレとともに撮られた写真では、ジャケットがわりに軽く羽織ったミドルゲージのニットアウターが、彼の持ち味である力の抜けたエレガンスを体現している。1934年に北イタリアで創業した名門、フェデリのカシミアニットアウターは、世界トップランクの原毛を使った贅沢な一着。イヴ・モンタンのエレガンスを追体験するように、タイドアップスタイルに合わせたい。¥341,000/フェデリ(トレメッツォ☎03-5464-1158)

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source : 文藝春秋 2024年11月号

genre : ライフ ファッション