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朝のミサに来る人は夜仕事が多い

 フィリピンでは、25日のクリスマスの前の9日間、日が昇る前の朝4時からミサが行われる。9日間行う意味は、キリストが生まれるまで聖母マリアのお腹の中に9ヶ月いたからだそうだ。

 布池教会では、フィリピンと日本の間に1時間の時差があるため、フィリピン時間の午前4時に合わせて5時から早朝ミサが開かれている。タガログ語で早朝ミサを開くのは、この辺りではここだけだという。

「以前は夜にクリスマス前のミサを開いていたのですが、全然人が集まらなくて……。4年前から朝5時に開いたら、たくさん人が来るようになりました」

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参列者のほとんどは女性だ ©中島弘象

 主婦をしている年配のフィリピン女性は「朝のミサに来る人は、仕事を休むか、夜仕事の人が多いですね。昼間仕事がある人は、時間がないからね」という。

 それだけ、フィリピン女性が夜仕事をしているということなのだ。

フィリピンパブで働く人の声

 早朝のミサが終わると、若いフィリピン女性達は、足早に路上で待っている車に乗り込み帰ってしまう。なかなか彼女達の話を聞けないでいると、若い女性が、夜なら、勤めている店で話を聞かせてくれるという。

 教会から1キロほど離れた名古屋市中区栄4丁目。この街には、100軒ほどのフィリピンパブが密集している。名古屋は、いまや日本でもっともフィリピンパブが集まる街だ。

 雑居ビルの3階にあるフィリピンパブに行くと、彼女は、赤いドレスを着ていた。教会で見たときは、仕事を終え、一度帰宅してから来ていたので、化粧を落として幼さの残る顔だった。店では、化粧をし、ヒールを履き、大人っぽく見える。

フィリピンパブが密集する名古屋の繁華街 ©中島弘象

 店での名前はマミ(仮名)。年は23歳。日本に来てまだ8ヶ月だという。たどたどしい日本語とタガログ語で、話をしてくれた。

「日本での生活は毎日ワンパターンです。夕方起きて、仕事して、朝寝る。それの繰り返しです。日曜日も仕事なので、教会に行く時間を作るのは難しい。でも、朝5時なら店が終わった後に、行くことができます。それにタガログ語だから理解できる。日曜日の夕方のミサは日本語が多いので、難しくて理解できません」

 夜仕事をしていると、夕方のミサに参加できないが、早朝なら仕事が終わった後にミサに行くことができる。それに自分の国の言葉だから、心にも入ってきやすい。

 日本で大変なことは何か聞くと、すぐにこう答えた。

「お客さんがいないと店で1万円ペナルティーを取られたり、仕事以外の時間もイベントで踊る、ダンスの練習があります。それに契約があるから、フィリピンに自由に帰れない。特にクリスマスシーズンは店も忙しいので無理です。今度クリスマスに帰国できるのは、契約が終わってからだと思います」