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個人商店や市場から食材がデリバリーできるような仕組み

 日本ではネットスーパーが細々と展開していますし、Uber Eatsなどの食事のデリバリーをテレビやチラシで見るようになりましたが、中国ではキャッシュレスとともに、すでに多くの人口に普及しています。Uber Eatsではレストランがサービスに登録し、ユーザーが購入すればUber Eatsのデリバリースタッフが運ぶわけですが、美団(Meituan)などのアプリでは、これと同じ要領でスーパーやコンビニはもちろん、個人商店や市場から食材がデリバリーできるような仕組みになっているわけです。配送料は一定以上買えば無料だったり、そうでなくても5元(約80円)程度だったりと、日本よりずっとお手軽価格で利用できます。

 かつて「コンピューターおばあちゃん」という歌がありました。1981年より歌われた、パソコンでなんでもできるおばあちゃんを歌った未来感ある曲です。一方、日本を超えるIT化を果たした中国においても、デリバリーをオーダーするおばあちゃんはそう多くありません。老人がIT化に慣れるのは中国でも難しい。スーパーの顧客を見ると老人の割合が高いですが、家族の絆が強いので、若い家族が代わりにデリバリーで食品を注文するわけです。

北京でもだいぶ遠い郊外になればシムシティ化されていない生活空間も残っている ©山谷剛史

 筆者も中国の地方都市でも利用はしていますし、状況によって散歩がてら実店舗を利用したり、美団のアプリを利用してデリバリーしたりしています。北京はネット普及率が以前から上海以上に高い都市なので、それゆえに店が突然なくなってもなんとかなっちゃうようなのです。キャッシュレスどころかショップレスが当たり前になっているわけです。

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ネット最先端都市の北京市民の行動は……

閉店ラッシュの「国安社区」 ©山谷剛史

 街のシムシティ化でショップレス化が進んでいるのと並行して、デリバリーにも対応し、セルフレジで買い物をする半無人コンビニ「便利蜂」が2017年2月に1店舗目を開店しました。すると、その後の2年間で、600店舗を超えるまでに急増し、代わりに既存のコンビニが業績不振で店を閉めています。野菜や食品や日用品の販売のほか、様々な住民向けサービスを提供する複合コンビニ「国安社区」は、絶頂期の400店舗に比べ、現在は155店舗と、6割が閉店する状況となっています。

 道沿いの店が少なくても、いい店にしか行かない。ネット最先端都市の北京の市民は、そう行動で応えていました。

 シムシティ化が進む中国には、それをフォローするネットサービスがあり、それがあるから人民も受け入れていました。ほかの都市でも、日本人が想像するごちゃごちゃ感満載の路面店がなくなっていく光景は当たり前になっていくかもしれません。

 山谷剛史氏ほか、高口康太氏、伊藤亜聖氏、 水彩画氏、田中信彦氏による共著『中国S級B級論 ―発展途上と最先端が混在する国』(さくら舎)が発売されました