文春オンライン

2019/07/23

スポーツは戦争にならない宗教です

――日本でも2020年の東京五輪、パラリンピックに向け障害者スポーツへの関心が高まっています。

カルドネル副会長 社会に対するスポーツの影響力は「21世紀の宗教」と呼べるほどに大きい。従来の「宗教」は、それが原因で戦争が始まってしまうこともありましたが、スポーツは戦争にならない宗教です。

 

 ただ「オリンピック」と「パラリンピック」を分けてしまったのは、大きなミステイクでしょう。別々の日程、別々の機会に開催したのではインクルージョンにならない。「普通」と「普通でない」を人はどこで見分けるのでしょう。ダウン症は一般的に「病気」とされますが、私はそうは思わない。「普通」の子供より、はるかに大きな愛情や友情を表現できるダウン症の子供たちを私は知っています。「普通」と「普通でない」を分けてしまうところから、偏見が生まれます。

イニエスタがなぜ日本を選んだかご存知ですか

――バルサのスローガン「more than a club(クラブ以上の存在)」は、「インクルージョン」な世界を目指すという意味なのですね。

カルドネル副会長 そうです。バルサは世界一、民主的なクラブで、バルサのオーナーは企業やお金持ちではなく、世界に15万人いる「ソシオ(会員)」です。ソシオに選ばれた我々、役員の仕事は、ソシオが何を求めているかに耳を傾けることです。

ヴィッセル神戸のイニエスタ ©文藝春秋

 ただし「more than a club」の意味を説明するのは難しい。この言葉が生まれたのは、スペインがフランコ政権の独裁の元で内戦状態にある時代でした。カタルーニャ語を話すことを禁じられたカタルーニャの人々は、祖国への思いをバルサに託しバルサを応援することでカタルーニャを応援したのです。私の会員番号は4000番台ですが、これは私が生まれた日に、祖父が登録してくれたものです。

 しかし今は「More than a Club」に政治的な意味はありません。バルサが培ってきた価値観をヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、そして日本に広めることが我々の仕事です。

 バルサは日本と良い関係が作れると思います。価値観がとてもよく似ているからです。イニエスタがバルサを去る時、なぜ日本を選んだかご存知ですか。実は中国のチームからはるかに高額なオファーがあったのです。しかしイニエスタは知人から「日本にはチームワークを大切にし、互いをリスペクトする価値観がある」と聞き、日本のチームを選んだのです。

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