面接官の人数設定にはあるルールが……
採用人数の承認を得たハイアリング・マネージャーは、まず自分が求める人材についての条件をまとめた「ジョブ・ディスクリプション(募集要項)」を人事部に提出。人事部から人材エージェント、アマゾン採用サイト、LinkedIn などに募集情報が発信される。
応募が集まり、書類選考、一次面接などその後のスクリーニング(選別)過程は全て人事部ではなくハイアリング・マネージャーが進めていくことになる。
最終(2次)面接の面接官の人数設定は採用するポジションの職級マイナス1というルールがある。職級が上がるほど面接官の数が増えるのはそれだけ多角的に応募者のチェックをするからである。たとえば、レベル7のシニアマネージャーが、直属のレベル6であるマネージャークラスの人材を採用したいとすると、「6(レベルの数)―1」、合計5名で面接にあたる。残り4名の面接官を決めるのもハイアリング・マネージャーの責務である。
最終面接にはクオリティを維持する「スペシャリスト」が同席
面接官は誰でもいいというわけではない。最終面接には必ず「Bar raiser(バーレイザー)」という社内資格をもつスペシャリストを含めなければならない。私もバーレイザーを務めていたが、バーレイザーには名前の通り、アマゾンが採用の「バー(基準)」を常に「レイズ(上げる)」し、クオリティを維持するための管理者といった役割がある。
バーレイザーは過去の面接の回数や経験、面接後の記述式フィードバック内容の質、業務経験などを考慮して社内のバーレイザー委員会で選出、その後、何度も実地トレーニングを受けて認定されるポジションで、現在ではアマゾンジャパン社内で数十人ほどが任命されている。さらに、ハイアリング・マネージャーは自分に関わる部署ではなく、全く違う部署に所属するバーレイザーに面接を依頼しなければならない規約がある。あくまでも客観的な判断を得るためだ。
実際の面接におけるチェック項目
実際の面接では、ハイアリング・マネージャーがバーレイザーを含めた数名の面接官それぞれに、リーダーシップ・プリンシプルの14項目(注・アマゾンの従業員が規範とする「原則」)を担当する項目に振り分けて依頼する。
募集する職務によって「今回の仕事では『Dive Deep』がとても大切なので、あなたとあなた、2名が重複してチェックをお願いします」といったこともある。つまりリーダーシップ・プリンシプルは、アマゾンの採用基準そのものでもあるということだ。
全ての面接が終了すると、面接官が全員集まってバーレイザー主導のもと協議して採用する人材を決定する。