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タトゥーにあごひげで頭も下げず無表情「スノボ国母」“大麻を誇るような”態度に下った重い刑

2020/01/31

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会, スポーツ, 国際

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「ちっ、うっせーな」「反省してまーす」発言

 大麻上級者ともいえる国母被告はどのような人物なのだろうか。北海道石狩市出身で、幼くしてスノーボードをはじめ、中学生にしてアメリカでの国際大会で入賞するなど頭角を現していく。この頃にはすでに国外でも活躍し、大麻を入手しやすい環境にあり、実際に手を出していたことになる。国内の大会で優勝なども果たし、2006年のトリノ五輪でハーフパイプ日本代表として初出場した。

 古くからウインタースポーツとして定着しているスキーとは対照的に、スノーボードは90年代に入り若者を中心に爆発的に普及した。BMXと呼ばれる自転車競技などと同様に、「過激」という意味をあらわすエクストリームスポーツの代表格とされる。若者文化としてファッションなども独特の選手が多いのが特徴だ。

 ケガなども乗り越え、迎えた2010年のバンクーバー五輪で世間の注目を集める。出発当日、成田空港に現れたドレッドヘアの国母被告は選手団としての正装で身を包んでいたが、ワイシャツのボタンをはずし、ゆるくネクタイをつけて裾はズボンの外に出していた。ダボダボのズボンは腰まで下げ、サングラスに鼻ピアス……。全国から抗議が殺到した。さらに現地の記者会見で服装の乱れについて質問されると「ちっ、うっせーな」という小声がマイクに拾われる。さらに「反省してまーす」という明らかに反省していない発言。一連の騒動で国母被告は、現在は常態化している「炎上商法」でマイナースポーツながら全国区の知名度となった。

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2010年2月、「腰パン」で成田空港を出発する国母和宏被告 ©共同通信社

米国内で自ら入手し、足がつかないように後輩の男を利用

 バンクーバー五輪では8位入賞にとどまった国母被告だが、その後は指導者としても活躍し、2014年のソチ五輪、2018年の平昌五輪で連続して銀メダルを獲得した平野歩夢選手のコーチを務めるなど後進の育成で成果を出す一方で、プロスノーボーダーとして、世界中の未整備で手つかずの雪の斜面を華麗に滑る映像作品に出演するなど多彩な活動を続けていた。

 一度は不名誉な形で目立ってしまうも、順調にキャリアを重ね、テレビ番組のインタビューでは年収1億円近いこともほのめかした国母被告。しかし、長年の不正行為がついに明るみに出てしまったのが今回の事件だ。

 バンクーバー五輪の前年である2009年ごろに共犯者となった後輩の男と知り合い、後に親しく付き合うようになった。2018年11月ごろ、「大麻の送り先を手配してほしい」と依頼したという国母被告。米国内で自ら入手し、足がつかないように後輩の男を利用した。先に後輩の男が摘発されると、自身に捜査の手が伸びると観念してか、厚生労働省麻薬取締部(通称マトリ)に出頭した。