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幼いころから大麻に手を出していたことを誇りに?

 初公判では、「大麻は北米で14歳ごろから使用していた。英語が喋れず大麻を吸うことがコミュニケーションのひとつだった」と話し、どこか、幼いころから大麻に手を出していたことを誇りにでも思っている様子だった国母被告。弁護側の被告人質問では「自分の夢はムービースターになること」「ハーフパイプとバックカントリーの両方で一番レベルの高いところでやれている」などと自身の経歴をアピールする国母被告を、弁護人は「国民栄誉賞級の人物」として、刑の軽減を求めていた。

バンクーバー空港到着時の服装について、記者会見するスノーボード・ハーフパイプ代表の国母和宏(右)。左は橋本聖子選手団長(カナダ・バンクーバー) ©時事通信社

国母の態度が求刑にも判決にも影響した可能性

 検察側は論告求刑で、「携帯電話の所在も、大麻の入手元に関しても、真摯に供述しておらず反省の態度は見受けられない」と切り捨てた。現に、入手ルートを法廷で問われた国母被告は「黙秘します」と答えた。大麻使用者に多く見られる態度だが、「大麻に関するすべてが違法だとは思っていない。日本で吸うことは違法なのでもうしません」と言い放ち、バンクーバー五輪の頃から変わらない様子の“国母節”が炸裂した。

 ところが一転して、判決では、終始無言をつらぬいた国母被告。村田裁判官は「大麻との関わりの深さは顕著であり、被告人を取り巻く環境等も考慮すれば、同種再犯に及ぶおそれも否定できないと言わざるを得ない」としながらも、「前科がないほか、今後は違法なことはしない旨述べていること、被告人の妻が今後も支えていく意思を有していることなど、汲むべき事情が認められる」として、執行猶予付きの判決となった。国母被告は頭を下げることもなくただじっと前を見つめ続けた。

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 懲役3年(執行猶予4年)の判決は、懲役1~2年が通例の初犯の薬物事案としては重い量刑となったとは言える。輸入された分量が多かったこともあるが、国母被告が「大麻をやめます」と言わなかったことが、求刑にも判決にも影響した可能性がある。

 単なる炎上騒ぎとは異なり、有罪判決という一線を越えてしまった国母被告。判決の際には10年前に軽々しく言い放った「反省してまーす」という言葉は聞かれなかった。「被告人の態度及び薬物に対する規範意識の低さ等からすれば、被告人には再犯の可能性が高いと言わざるを得ない」。そう指弾した検察側の懸念が現実とならないよう国母被告の「反省」に期待したい。