新型コロナウイルスの拡大による在庫不足に便乗する「マスクの高額転売」が社会問題となっている。静岡県焼津市の志太消防本部焼津消防署大井川分署では、男性隊員が備品のマスクを無断で持ち出し、フリーマーケットアプリ「メルカリ」で転売していたことが2月22日にわかった。

 さらに悪質なのは「転売ヤー」と呼ばれる転売専門業者による買い占めと価格釣り上げだ。「週刊文春デジタル」では、転売ヤーである20代男性・A氏に話を聞いた。

「実働時間は丸1日もかかってない」

話を聞いたA氏 ©文藝春秋

「マスクの転売は実働1日。100万円以上の売り上げを出しましたね。僕は、今回のコロナでのマスク不足の中、約7000枚のマスクを仕入れ、全て売り切りました。マスク自体、様々の種類を仕入れたので単価はバラバラなんですが、仕入れ値は(総額で)大体35万円。売り上げは110万5000円でした。なので、利益としては約80万円ですね。僕を含めて3人で動いていました。実働時間にすると丸1日もかかってないくらいなので、なかなかの売り上げだと思いますよ」(A氏)

ADVERTISEMENT

 都内在住のA氏だが、この7年ほど、転売で生計を立てているという。

「転売をやっている知り合いのやり方を見て、こういう風にやれば儲かるんだと気付き、僕もやってみたいと思ったのが転売を始めたきっかけでしたね。今は法律が変わって撤退したんですが、(当初は)チケット転売や、アパレル(洋服)などの転売をしていました。コロナウイルスが流行したニュースを見て、これは逆にチャンスだと感じましたね」

 A氏はどうやって7000枚ものマスクを入手できたのか。

「単純にお店を回って買えるだけ買うという方法でした。車でスーパーやドラッグストアを回るのが基本です。僕が聞いた情報だと、マスクが作られているのが東北や長野に多いみたいで、現地の知り合いに協力をしてもらったり、東北に人を派遣して買い回ったという感じですね。(自分は)主に仙台付近を回りました。関東近郊だと、千葉県の奥の方(内陸側)が購入できるスポットでしたね。入荷情報なども(転売ヤー仲間から)回ってきます。またお店に電話をすると教えてくれるお店も多かったですよ」