3月2日に始まった全国の小、中、高校などの臨時休校。文春オンラインで調査したところ、56.5%が安倍首相による休校要請に賛成という意見だった。

 では、各地の教育現場では突然の要請から休校までどんなことが起きていたのか。

<社会福祉法人などが運営している保育園と違って、学童は保護者が運営している(指導員は父母会が雇っている)ケースが少なくない、ということが、あまり知られていないので、明日、月曜日朝の学童開設を目指して、いま、学童の保護者がめちゃくちゃ大変だ、ということが理解がされにくいようです>

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 臨時休校直前に、このツイートが話題になった川口創弁護士。実は名古屋市では「父母立」=保護者が実質的に運営する学童保育が多いのだという。

 普段は憲法問題や企業法務が専門の川口氏に学童を運営する親の立場から話をしてもらった。

こちらは休校後の栃木県宇都宮市の学童保育。映画を鑑賞する子どもたち。各地の学童でばたばたの対応が続いた ©時事通信社

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名古屋では約170カ所の学童が「父母立」

 私は名古屋で弁護士をやっていますが、小4と小2の子どもがいて、共働きのため学童保育を利用しています。

 そもそも学童保育では「父母立」があるということ自体あまり知られていません。社会福祉法人や自治体が学童を運営する地域もあります。ただ私の住む名古屋市では170カ所くらいの学童が「父母立」で保護者によって運営されています。

「父母立」ですから建物を借りるのも、学童指導員を雇うのも、指導員の体制を整えるのもすべて保護者会で行っています。私たちの学童は小1~小6まで合計で45人ほどの児童が利用しており、みな共働きかシングルで育てている家庭の子どもたちです。

猶予は“1日”「指導員をいかに確保するか」

 安倍首相の休校要請は木曜日(2月27日)の18時を過ぎてからでした。一斉休校の開始日は翌月曜日(3月2日)。「学校登校日」としての猶予は1日しかありません。

 要請当日はすでに夜になっていましたから保護者で集まることは出来ず、金曜日の仕事後に急遽集まって「月曜日朝から開けるかどうか」「指導員のシフトはどうするか」「感染症対策はどうするか」を検討しました。なおこの28日、各学童には名古屋市から「(3月2日~3月24日まで)原則として開所していただく」旨の要請が届いています。

 私たちがまず直面したのは「学童を朝から開けるにしても指導員をどう確保するか」でした。