昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

平井 ただ意見を言っているだけではしょうがないです。院内感染を防ぐためには防護措置も必要ですから、県から医療機関に、新型インフルエンザ流行を機に備蓄した約23万枚のマスクと消毒液を緊急放出しました。我々も医療機関を支えるぞ、ということを実際の行動で示していこうと。

 そういうなかで、ベッド数を増やしていきたいという話もしていたんですね。医師会や病院関係者、保健所の幹部などを回って、了解を取っていきました。病院のベッドを提供してもらうには、このフロアを空けてとか、動線をどうするかとか、調整が大変なんですね。当初の12床から約200床までに約1カ月かかりました。現在は322床です。各所との信頼関係のなかで、何とかそこまでいったんじゃないかなと思います。

初の県内感染「ついに来るべきものが来た」

――4月10日に、鳥取県内では1人目の感染が発表され、これまでに計3人の感染が分かっています(4月21日現在)。

平井 もう3カ月、準備をやってきたわけですよね。小さい県ですので、準備をしておかないとあっという間に突破されてしまうという危機感を持ち続けてきたことが、功を奏したと思います。先ほどもお話ししたように、徹底的に院内感染を防ぐため、小さな医院の場合は車で待機してもらってその中で、大きめの病院ではしっかり他の患者さんと動線を分けた上で、医療者が防護措置をして診察にあたっています。ありがたいことに、医師や看護師の方々は非常に協力的で、感染した患者さんが入院している病院関係者とも日々情報交換をしています。これは、大都市では難しいことかもしれません。

 店舗などへの休業要請については、鳥取県はまだその段階ではないと考えています。県民の皆さんには、いま一度気を引き締めて、できる限り外出を控えて冷静に行動してもらえるよう、呼びかけていきます。鳥取県の場合は、人より砂が多いと言われるくらいですから、人混みを避けるよりも2メートルの「ソーシャル・ディスタンス」を徹底してもらうことが大切です。うちは和牛が美味しいので、例えば「鳥取和牛1頭くらいの距離をとってください」という形で(笑)、ちょっと分かりやすく地域の方に伝える工夫が必要ではないかなと思っています。

4月10日夜、鳥取県で初の感染確認を受けて記者会見する鳥取県の平井伸治知事 ©共同通信社

――初の県内感染が確認された翌日、4月11日に平井知事は中海テレビ放送(鳥取県西部のケーブルテレビ局)に出演されていますよね。冒頭で「ついに来るべきものが来たなと思います」と話す様子は、YouTubeにもアップされました。

「中海テレビ」より

平井 実はもともと収録の予定は入っていたのですが、こういうことになり、私もばたばたと予定を切り替えて、県庁のある鳥取市と中海テレビのある米子市を夜のうちに往復して出演しました。私から呼びかける機会をいただけて、絶好のタイミングだったと思います。少し誤解されていまして、私はいつもだじゃればっかり言っていると思われているんですけれども(笑)、けっこう根は真面目に仕事をしているんですよ。

県庁では机の間に段ボールで仕切り

――鳥取県庁では、3月末に職員の机の間に段ボールやフィルムシートで仕切りを作っていたというのもすごく気になるニュースでした。誰の発案だったんですか?

平井 あれはね、私です。役所では、新年度に向けて3月31日が年に一度の模様替えなんです。3月30日に人事担当の幹部を呼びまして、盛り上げるために「鳥取型オフィスシステム」と名付けて全庁に呼びかけました。

鳥取県庁、机を段ボールやビニールで仕切る「鳥取型オフィスシステム」

 職員はお互いに机を向かい合わせにして働いているので、飛沫感染などを考えると危険な環境ですよね。職員の命と健康が大事ですので、何かできないかと。保健師の職員にも相談して、感染防止のためにまずは様々な素材を使って机の間に仕切りを作ることにしました。段ボールに窓を作って顔が見えるようにしたり、サランラップやアクリル板を使ったり(笑)。年度末に言い出したので各課予算がないですよね。だからその辺りに転がっているものを使いました。マスクを付けるだけではなく、色々な工夫ができたらいいですし、職員の意識も変わったと思いますね。