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「コロナ疎開」の象徴、砂丘から人が消えた

――4月16日に緊急事態宣言の発効が全国に広がって、変わったことはありますか。

平井 全国に危機意識の共有が広がったことはよかったと思います。鳥取県についていえば、砂丘から人がいなくなりました。「コロナ疎開」の象徴のように、実は連日テレビなどで取り上げられて、特に地元の方々は苦々しく思っておられたはずです。今は本当にいなくなりましたね。足が止まった効果はあったと思います。

 問題はこれからです。ゴールデンウィークの期間は最大のピンチであり、逆にいえば、最大のチャンスにもなります。感染拡大を防ぐために、県境をまたいで動かず、2週間にわたって人との接触を減らすことができれば、大きな成果を得られるのではないでしょうか。企業も休みになれば協力を仰ぎやすく、通勤時の接触を減らすこともできます。本当に必要な移動か考えてほしい。大切な人のために、帰省はやめましょうということは続けて呼びかけていきます。県民の皆さんもなるべく家に「おる」、県外に「出ん」ということで今年は「おる・出んウィーク」です(笑)。

鳥取砂丘 ©iStock.com

――平井知事は、全国知事会で新型ウイルス緊急対策本部の副本部長・本部長代行を務められています。参考になる、発信力があると思う知事はいますか。

平井 皆さんそれぞれに頑張っていると思います。正直、非常に難しい時代を担当することになった私たちにとっては辛い時期です。大阪府の吉村(洋文)さんや和歌山県の仁坂(吉伸)さんのように合理的にものを考えておられる人たちの意見は、参考になりますね。近隣の知事とも頻繁に連絡を取り合っています。感染ルートが県境をまたいでいますから、今までにない知事同士のネットワークになっている。これは、コロナが変えたと思います。

「10万円」と「アフターコロナ」

――ゴールデンウィークを前に、「アフターコロナ」が早くも議論されはじめています。新型コロナを経た後の時代のことを、平井知事はどのように捉えていますか。

平井 私は、まず持ちこたえることに1つポイントがあると思います。今、企業やお店にとって大切なのは、運転資金にも使えるような手元の資金を作っておかないといけないということです。鳥取県では、5年間無利子、10年間の保証料なしの制度融資(地域経済変動対策資金)を400億円に拡大します。そしてここは、金融機関が取り立てないということにしてもらわないといけません。今度融資を止めますよ、となればあっという間に店を閉めなくてはならなくなる。

 そこで3月には金融機関の関係各所へ「今は耐えるときなので、地元の企業、お店を支えていただくように」とお願いに行きました。金融機関もお客さんを失うことになりますから、私は同じ船に乗っていると思うんですね。どうにか持ちこたえることができれば、旅館を閉めていてもいずれ開けるという見通しが立ってくる。この“つなぎ”が大事で、我々もまさに今取り組んでいるところですね。

※写真はイメージです ©iStock.com

 テイクアウトなどを始める飲食店や、宿泊施設には一律10万円で助成を始めますが、これも応援の意味なんです。これで何とかなるわけではなくて、国からの200万円ないし100万円の持続化給付金や、県の制度融資と組み合わせてやっていただくことになると思います。地域みんなでがんばろうという気持ちをつくって、来たるべき夜明けを待つ。そういうことが、今一番大事だと思いますね。並ばなくてもマスクを購入できるよう、各家庭に1枚、マスク券の配布も検討しています。

 そしてもし復活してきた時には、観光のV字回復ができるように、今からソフトコンテンツや旅行商品を考えておく。そういった仕込みも始めています。国からの一律給付の10万円をもらった使い道として、例えば鳥取のコロナ対策を応援しようという方もいらっしゃるかもしれません。そういう場合は、ふるさと納税で特別の枠を作って受け入れさせていただく。将来鳥取へ来られる方には、観光施設の割引券などをふるさと納税のお礼にする。まだ見えない朝ですが、待っている間に今から始められることを。今はそのように考えています。

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